新たな国防省主要高官の国防政策への不満

米国絶頂期を知らず、中東で苦闘する米軍を見てきた新幹部
これら30-40代が多数の新国防省指導層は何を思う
「共和党の心と魂をめぐる争い」との見方も

1月28日付 Defense-News が、トランプ政権で国防省に新しく加わったメンバーの多数を占める 30-40代の主要幹部は、「アポロ計画」時のような米国絶頂期を知らず、リーマンショックや中東で苦闘する米軍を見てきた人材で、米軍事力が欧州や中東などで過剰に無駄使いされていると憤り、国防予算の増額だけでなく、関与の削減までを視野に、希少な資源の優先順位を変更すべきだと主張している、との分析記事を掲載しています

例えば、このようなメンバーの中心の一人である国防省No3で政策担当国防次官候補のElbridge Colby 氏がSNS上で、「米国の独善的な従来の体制により、弱体化して通剰に負担を背負わされた軍事力と産業空洞化に直面する中で、我が国は WW3の瀬戸際に追い込まれている。私たちは絶対に変化を必要としている」と訴えていることなどを紹介しています

そして、この動向を記事は「反バルカン派の台頭:rise of the anti-Vulcans」と呼び、2代目ブッシュ政権時の外交政策専門家集団のような自信に満ちた姿勢を示しつつ、政策的には全<逆の「イラクとアフガンでの戦いを主張した共和党政策からの大転換を求め、海外での軍事使用に消極的な政策への転換を追求」していると紹介し、

Colby 政策担当次官候補の2名の弟子で、部下となる Austin Dahmer と Alex Velez-Green 氏が、「中国紛争で敗北しないために、米国は軍事資源をウクライナと中東支援から転換し、両地域の同盟国にもっと重い負担を負わせるべき」と主張していると取り上げています

この状況に共和党重鎮や外部有識者は、
●共和党顧問の重鎖は、「アポロ計画を見て育った人なら、我々は『何でもできる』と信じているだろうが、イラクやアフガン、そして 2008年の金融危機を経験した人たちは、もう少し冷淡になっている」と表現している
●タカ派シンクタンク研究員は、「共和党の心と魂をめぐる争いが発生している」、「国務省や NSC といった、よりタカ派的な政権メンバーとの争いが確実に起こるだろう。どちらが勝利するかで、米国の軍事力の使い方や使用場所が根本的に変わる可能性がある」と指摘している

記事は上記のような論争を紹介しつつ、国防省で中核的立場になった若い世代の考え方を実行に移すには、他の米政府機関を説得するだけでなく、米国全体や国際社会への説明や説得が必要になろう・・と結んでいます
////////////////////////////////////////////////

ご紹介したのは記事の一部で、1月28日付 Defense-News 記事は、様々な具体的人物の発言や論争を名前付きで取り上げていますので、ご興味のある方はぜひ原文をご覧ください

ご紹介した新しい勢力は、自らを「抑制派:restrainers」とか「優先派:prioritizers」と称しているようですが、前回のトランプ政権の反省を踏まえ、今回は相当に準備して各ポストに登用する人材を選抜した跡がうかがえますので、当面は彼らが打ち出す様々な政策を目にすることになるでしょう。

まんぐーす個人的には、勢いのある米国防省新メンバーには、石破政権の親中派(幹事長、外相、総務相、公明党幹部も含め)にガツンと一発お願いしたいと思います。

トランプ次期政権関連
「国防省の主要幹部候補者」→https://holylandtokyo.com/2024/12/26/10534/

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆様(...
タイトルとURLをコピーしました