汚い戦いとは「ハイブリッド攻撃」のことです
7月9日から11日に米ワシントンCDで開催されたNATO首脳会議で、ロシアが欧州のウクライナ支援国を相手にコソコソ陰湿に進めている、一般的な軍事力ではない手段で相手国に混乱などを引き起こそうとする汚い行為、つまり2014年の露によるウクライナ侵略以降「ハイブリッド攻撃」と呼ばれる行動が激化して脅威となっている点が議論され、NATO加盟国が連携対処することが確認されました。
具体的にこのケースでの「ハイブリッド攻撃」とは、破壊工作、暴力行為、不自然な移民や難民の増加、サイバー攻撃などなどを指し、「西側の社会を分裂させ、国家や国家機関、さらにはNATOやEUに対する国民の信頼を失墜させ、ウクライナ支援を弱体化させること」を狙いとしたものと解釈されており、NATO加盟国の認識をそろえて対応を強化することが首脳宣言として採択された模様です
以下では7月14日付のNHK報道記事から、露による欧州諸国への「ハイブリッド攻撃」の事例や最近の新たな展開について概観し、仮に日本が「ハイブリッド攻撃」対象になったら・・・を考えるベースとしてご提供したいと思います
最近の様々な「ハイブリッド攻撃」事例
【難民や移民の武器化】→約3年前、ロシアの同盟国ベラルーシのポーランド国境付近に突如、多数の中東やアフリカの移民らが集まり、ポーランド側へ越境しようとしてポーランド国境管理や治安部隊に混乱を生じさせた
【放火など破壊工作1】→欧州諸国では最近数か月、商業施設や公共施設などで不審な火災が相次いでいる。5月にはリトアニアの首都のショッピングセンターで火事が起き、その直後には、ポーランドの首都ワルシャワで 1400以上の店が入る大規模なショッピングセンターが全焼。ポーランド治安当局が、露の指示を受け破壊工作を行ったとして9名を拘束(リトアニア事案の容疑者でもあると推定)
【放火など破壊工作2】→ウクライナ支援に積極的なチェコでは、6月のヨーロッパ議会選挙の直前、首都プラハの路線バスの車庫で何者かがバスに放火未遂する事件が発生。 警察がコロンビア国籍の 26歳の男を拘束。チェコ公安情報局は「ロシアのつながり示す明らかな証拠がある」とし、チェコ首相はロシアによる「ハイブリッド攻撃」だと主張。放火が成功していれば、「ウクライナを支援しているからチェコが狙われるんだ」との主張が拡散されていたであろうと警鐘鳴らす
上記チェコ事例とチェコ公安情報局の分析
→地元警察は、男のスマホ等を捜査し、男はテロ組織や犯罪集団とのつながりはなく、約50万円の報酬目当ての犯行だったと説明。チェコ公安情報局のトップは「露との関連を示す非常に明らかな証拠があり、ロシアの情報機関が今回の攻撃の背後にいる重大な疑いを持っている。ロシアはウクライナへの支援に積極的な国を狙っている」と取材に述べている
→ただし、犯人はSNSで日常的に多数がやりとりをするグループの中から選ばれ、多くの人物を介して間接的に露情報機関から指示を受けており、犯人本人には露から指示を受けた認識はない模様
→同チェコ公安トップはまた、イスラム過激派組織 IS等が、テロ実行犯となる人物をネット上で勧誘し、「ローン・ウルフ:一匹オオカミ」として欧州に送り込んだ手法に似ているとして、露の新たな「ハイブリッド攻撃」手段との認識を示し、「攻撃実行者の事前特定が困難で、阻止は極めて難しい。露はプロを使っていないが、一般市民の恐怖心をあおる狙いのハイブリッド攻撃では、十分役割を果たせる」として危機感をあらわにしている
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中国は、海外在住の中国人も対象に含める2つの法律、つまり、有事に軍事動員する「国防動員法」と、有事・平時を問わず中国政府の情報工作活動への協力を義務づける「国家情報法」を制定しており、在日中国人は中国本国からの指示が出れば、すぐさま日本に対する「ハイブリッド攻撃」実行者になり得る状態にあります。
日本のマスゴミやいくつかの政党は、今でも既に中国など海外勢力の出先機関のような動きを見せていますが、「国防動員法」や「国家情報法」を根拠に、中国政府が在日中国人に行動指示を出したなら、それはそれは恐ろしい脅威になります。頭に置いておきましょう
後日、東欧や北欧諸国を飛行する民間航空機や民間飛行場への影響が最近ひどく成っているロシアによるGPS妨害を、「ハイブリッド攻撃」と扱うことが可能かに関する論考をご紹介する予定です。ジュネーブ条約の枠組みでは、現実世界の動きに対処することが難しくなっている事例としてご覧いただければ幸いです
後日公開記事
「紛争地域周辺でのGPS妨害を考察」→https://holylandtokyo.com/2024/08/05/6135/