海外F-35パイロット養成基地を米本土に新設

海外17か国で2400機以上を運用する操縦者養成
アリゾナ州Luke基地は満杯状態
新たに州空軍基地をF-35訓練専従基地に

F-35 Ebbing5.jfif6月20日付Defense-Newsは、現在はMQ-9無人偵察攻撃機のみを運用しているアーカンソー州のEbbing州空軍基地が、7月2日に海外F-35運用国のパイロット養成専用部隊(第188航空団隷下に第86戦闘飛行群と第57戦闘飛行隊)を「新設」し、9月からポーランド空軍操縦者を皮切りに訓練生を受け入れ開始予定で、その後はフィンランド、ドイツ、スイス、シンガポール(米空軍には無いF-35Bの訓練)操縦者を訓練し、2025年に4名、その後は2030年頃まで毎年35名程度の卒業生を送り出す計画だと紹介しています

F-35 Ebbing7.jfif現在も維持費が高止まりし、米空軍での稼働率も低迷し続け、最新ソフト搭載の完成度に米空軍が満足せず機体受領を拒否している問題てんこ盛りの「亡国のF-35」が、現時点で世界18か国で3500機導入予定で、そのうち海外に2400機以上が提供され「将来の破局」や「西側空軍による集団自殺」をほう助する異常事態を生み出しているにもかかわらず・・・と最近はコメントする気力さえ消え失せてしまったのですが、

経験や技量レベルが異なり、言葉も十分に通じない様々な世界中のパイロットを、米国に受け入れて最新戦闘機の操縦を教育する米空軍現場の「懐の深さ」や「関係各位の努力」は、到底他国では代替できない取り組みで、国際安全保障の基礎であり根幹を支えていることは間違いのない事実ですので、その概要をご紹介します。

20日付Defense-News記事によれば
F-35 Ebbing3.jfif●現在のEbbing州空軍基地には約1000名の兵士が所属し、無人偵察攻撃MQ-9運用とISR分析処理、更に宇宙軍関連の目標分析任務(Targetting)を担っているが、戦闘機配備は「ゼロ」の基地である。ただかつては、F-4、F-16、A-10が所属していたこともある

●現在、海外F-35パイロット養成はアリゾナ州Luke空軍基地が担っており、イタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ操縦者が既に教育を受けており、ベルギーからも間もなくLuke基地に到着予定。しかし同基地の受け入れ能力はすでに限界で、追加の訓練基地として2023年3月にEbbing州空軍基地が選定された(政治家も巻き込むミシガン州Selfridge州空軍基地からの猛烈な誘致運動もあったが・・・)

F-35 Ebbing.jfif●米空軍は2028年までに計約1300億円を投入し、Ebbing基地のF-35受け入れ各種施設やシミュレーターや訓練空域の整備(空域拡大用の施設準備や模擬SAMなど訓練機材設置等々)を行う予定。特殊な所では、シンガポール空軍が米空軍が保有しないF-35B型訓練を行うことから、垂直着陸に耐えるエプロンの整備や教官確保も行う予定
●Ebbing基地には、24機のF-35と12機のF-16が配備される予定。F-16は現在Luke基地に置かれているシンガポール空軍の米国分遣隊F-16が移動してくるもの。

F-35 Ebbing8.jpg●Ebbing基地にF-35シミュレータ設置が完了するまでの間は、計7か月間のF-35操縦基礎教育課程の内の当初3か月の訓練はフロリダ州Eglin空軍基地で行い、F-35に関する座学や、シミュレータによる離着陸訓練から基礎的F-35戦術訓練(1対1空中戦など)までをEglin担当とする。Ebbing基地では実機F-35による飛行訓練で、離着陸から基本戦技、対地攻撃CASやSEADや対航空やエスコートやパッケージ行動の基礎を訓練する

●7か月間のF-35操縦基礎教育課程終了後、一部の海外操縦者は再びEglin基地に戻って「教官操縦者」教育課程を受講して母国空軍での教官パイロットとなり、その他の操縦者は母国F-35飛行部隊に戻る。Ebbing基地では、2025年に4名の卒業生を送り出し、その後20230年頃までは毎年35名程度の教育を行う予定
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F-35 Ebbing6.jfif日本の名前が出てきませんが、航空自衛隊は2016年12月にLuke基地で航空自衛隊用1番機を受領し、2017年から同基地で航空自衛隊パイロットの養成(教官要員を含め)を開始しており、推定ですが、コロナ前の段階で、F-35操縦者や整備員の養成は、既に日本国内で航空自衛隊自ら行える体制を確立していたと思われます

これまで操縦者教育を担ってきたアリゾナ州Luke基地は、F-35飛行隊を6個に機体140機以上を有する「F-35要員教育のメッカ」ですが、Ebbing州空軍基地の地元の皆様は、様々な外国人パイロットをどのように受け入れていくのでしょうか・・・。無人機MQ-9の穏やかなプロペラ音から、最新戦闘機F-35の爆音がとどろく環境への変化を受け入れてくれる社会の存在にも感謝すべきでしょう

航空自衛隊訓練生の米国での墜落死亡事故に学ぶ
「海外訓練生と語学の壁・米空軍の努力」→https://holylandtokyo.com/2023/04/19/4533/
「当該事故調査報告」→https://holylandtokyo.com/2021/10/12/2328/

航空自衛隊操縦者の米国教育は既に終了か
「空自F-35の一番機受領@Luke基地」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-03

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