Balikatan演習と事前訓練で米陸軍が比軍強化に尽力
米比防衛協力合意EDCAでテコ入れ3施設を活用
「HIMARS」の新拠点への持ち込みが話題に
米陸軍訓練施設「JPMRC X」をアジアへ初持ち込み
5月12日付Defense-Newsが、対中国を念頭に置いたフィリピンと米国間の防衛協力合意(2014年締結:EDCA:Enhanced Defense Cooperation Agreement)に基づき、米軍が対中国で「戦力の分散運用」を目指す中で、分散展開先や物資集積場所等になりそうな基盤確保を積極的に進め始め、2014年のEDCA締結後に5か所、2023年には追加で4か所の港湾や空港や倉庫や兵舎等の整備増強プロジェクトが進んでいますが、
4月中旬から5月9日まで実施された米比演習「Balikatan」で、2023年に追加強化が始まった4か所のうち、3か所が重点拠点として米比訓練で使用され、公にはフィリピン防衛力の強化との名目ながら、強く対中国作戦を意識した想定となっている同演習で重要な役割を果たしていると紹介しています
また同記事は、米陸軍が対中国を想定した西太平洋の島々等での「分散作戦運用」や「地域同盟国等との連携作戦」を意識し、数十年ぶりに新規設定した「combat training center」演習を、対中国用のJPMRC(Joint Pacific Multinational Readiness Center)として2022年からハワイで、東南アジア国(フィリピン、インドネシア、タイ陸軍)等と開始している中、
対テロや対反政府過激派対策から対中国フィリピン国土防衛強化への転換に着手した比政府のニーズと合致する形で、対中国用のJPMRCを初めて日付変更線より西に展開して、「Balikatan」演習前後にフィリピンで行い、本格演習「Balikatan」前に比軍の射撃能力強化等の底上げに取り組んだとも紹介していますので、概要をつまみ食い紹介いたします。
米比Balikatan演習での米支援施設の重点活用
●まず、中国が第2トーマス礁を力で支配することに対抗するため、南シナ海に突き出したBalabac島で、WW2時に座礁した戦車揚陸艦「シエラの母」を活用したフィリピン海兵隊が死守している拠点を利用した活動
●次に、ルソン島の北部中央に位置するLa-Lo飛行場を、台湾とフィリピンの間のバシー海峡の台湾寄りにあるフィリピン領「Batanes province」のBasco島に展開した米陸軍タスクフォースへのC-130輸送機によるHIMARS(High Mobility Artillery Rocket System)空輸や、CH-47やUN-60Mによる展開戦力支援の拠点基地として活用
●更に、ルソン島北部のNaval Base Camilo Osiasも細部非公開ながら同演習で使用。ただし、4つ目の拠点Camp Melchor Dela Cruz in Gamuは、米比演習「Balikatan」では不使用
対中国用JPMRCの西半球初展開
●歩兵旅団戦闘チームを検証する戦闘訓練センターのローテーション派遣として、JPMRCを西半球に初めて展開し、 陸軍第25歩兵師団が計器システム、運動統制グループを持ち込み、仮設敵を演じてフィリピン軍の射撃能力向上に取り組んだ。
●結果として、「Balikatan」演習でフィリピン軍の火砲攻撃射距離が延伸し、「Balikatan」で重要な海洋水路防御作戦に参加&貢献した
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特にフィリピンは、2022年7月に就任したマルコスJr大統領が対中国を意識して米国との連携強化に大きくかじを取り、米国もドゥテルテ大統領時代の麻薬撲滅作戦を「人道的に問題」などと非難してフィリピン支援を停止した5年前からの姿勢を改め、米比関係は急激に右肩上がりの改善を見せています
まんぐーすはこの急激な米比軍事協力改善&発展の背景には、米国やフィリピン情報機関による「中国経済崩壊」の早期「見極め」があったと想像をたくましくしていますが、日本は政府としてどのように中国経済崩壊状況を見ているのでしょうか? 防衛研究所をして「中国経済崩壊」からは目を背ける姿勢を強固に貫いており、いわゆる日本政府として中国に忖度する姿勢をコッソリ打ち出していたかのような予想を呈しています。今でも・・・
フィリピンと米が対中国で協力強化
「台湾近傍フィリピン北端に米国支援で軍施設増強中」→https://holylandtokyo.com/2024/02/15/5548/
「米空軍F-22が初展開」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「JPMRCでアジア太平洋協力強化」→https://holylandtokyo.com/2023/02/20/4294/