新興企業が「Enterprise Test Vehicles」試作し秋に試験
モジュール式・off the-shelf・readily-available部品で
6月3日、米国防省DIU(Defense Innovation Unit)と米空軍が、本格紛争で既存兵器や無人ウイングマン機CCA等を補完するため、ETV(Enterprise Test Vehicles)との「試験用機体:test platforms」を導入し、安価で既存成熟した部品を使用し高効率大量生産可能な無人機を開発につなげると発表し、100以上の候補企業から既に4社を選定済で、2024年秋頃に試作機体の評価飛行試験を行って量産調達する少なくとも1社を決定すると発表しました
種々の情報を総合して推測すると、DIUは2023年9月に航続距離は500nm(930㎞)で巡航速度が時速100nm以上等の条件で企業募集を行い、国防省や空軍が狙っていた既存軍需産業でない企業を多数含む100社以上の中から選ばれた4社(「Anduril Industries」 「Integrated Solutions for Systems」「Leidos Dynetics」「Zone 5 Technologies」)と、どうやら今年1月に契約締結していた模様ですが、契約金額や内容は非公開で、ETV全体のスケジュール感もよくわかりません
冒頭でご紹介したようなETVの特徴から、2023年8月にヒックス国防副長官が発表した「大量導入&投入効果を発揮するために低コストで高性能なシステムを大規模に生産」することに重点を置いた「Replicator構想」の一角をなすものと推測されており、よく耳にする最近はやりの「モジュール式で随時アップグレード可能で、Off the-shelf・Readily-available部品で価格を抑え、高効率安定生産可能な」設計開発&&調達を目指すものとなっています
3日のDIU発表や関係企業声明を拾っていくと
●高価な材料使用を最小限に抑え、手頃なコストで安定的に大量生産できるモジュール式ドローンの試作品開発のため4企業を選定
●業界の有望なアイデアを活用し、適切な時程で生産可能で改良する機会を提供
●コスト、スケジュール、生産量の目標を達成するために、非伝統的な航空宇宙企業にさらなる機会を提供することが重要
●DIUと空軍は、ETVを大量配備し、多様な発射方法を使用して「防御側の敵に圧倒的なジレンマを生み出す」ことを狙う
●「数十年ではなく数年で機能を提供し、適切なタイムラインで重要機能ギャップを埋める」
●「モジュール式サブシステムで更新可能とし、On-Demandの大規模製造を可能にし、手頃な価格で大量生産を実現」
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(←左Hicks副長官と右DIUトップ)まんぐーすにとって「初耳」のETVプロジェクトですが、ご紹介したDIUや米空軍開発調達部門の他、空軍研究所 (AFRL)、特殊作戦司令部 (SOCOM)、海軍航空システム司令部 (NAVAIR)、および太平洋軍 (USINDOPACOM) が関与しているようで、皆が関心を持ち必要としているプロジェクトです。
選定された4企業発表の各社候補機体コンセプト図には、「モジュール式・off the-shelf・readily-available部品・・・」重視の結果生まれる「既視感」のあるイメージの案が並んでいますが、官民の知恵を結集した完成品が生まれることを期待したいと思います
小型安価自立型ドローン大量導入をぶち上げ
「再びReplicator語る」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「副長官がReplicator構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
関連のCCA計画関連
「2029年までにまず100機」→https://holylandtokyo.com/2024/05/21/5863/
「大手3社がCCA一次選考漏れ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/17/5851/
「あと6年で実用化に試験準備」→https://holylandtokyo.com/2023/11/08/5153/