昨年秋に「M1A2」改修計画がキャンセルしたばかり
2022年頃までは軽戦車MPF 構想もあったような・・・
突然上層部が Bradley 後継M30と同時投入が望ましいと
5月31日付 Defense-News は、米陸軍がM1戦車の新たな発展型(new tank variant)として、2転3転した挙句に 2023年9月に構想を打ち出した「M1E3」新型エイプラハム戦車に関し、General Dynamics Land Systems 社と契約し具体的な要求性能を検討することになったと報じています
M1戦車の最新型?「M1A2」は1998年のコンボ紛争から投入され今や大ベテラン装備品で、1985年導入の初期型「M1A1」も21世紀のイラクやアフガン戦争で使用され、ウクライナ軍にも 2023年9月に提供されたと伝えられていますが、基本的にはメーカー生産は終了し、米軍は車両を修理しながら共食いリサイクル活用している模様です。
この米陸軍戦車については、歩兵部隊に「防護プラットフォーム」、「圧倒的な精密火力」、「様々な地形条件での高い機動力」提供目的で軽戦車(MPF: Mobile Protected Firepower) を2026年に部隊提供する計画があったりもしましたが(現在も存続するのか未確認)、
大ベテラン M1の最新型M1A2に関しては、迷走を重ねつつも煮詰められきた「M1A2 System Enhancement Package」計画を2023年秋に突然中止決定し、戦車の機動性や生存性をより本格的に追及する「近代化」計画を別途追求する方針に転換するなど、米陸軍の「存在意義をめぐる迷走」の象徴とも「やゆ」される状況にあります
昨年秋に突然中止の「M1A2 System Enhancement Package」計画の後に、これまた昨年 9月6日に突然打ち出された戦車の機動性や生存性を本格的に追及する計画が今日ご紹介する「M1E3」ですが、それも以下に記事からご紹介するように、「何が可能か確認する」的な「場当たり」感漂う検討となっています
5月31日付 Defense-Newsは1M1E3」検討について
(担当の Geoffrey Norman 准将が語る)
●米陸軍上層部から、Bradley 歩兵戦闘車両の後継として2社が構想を競っている「M30 機械化戦闘車両」(2027年度末頃に選定結果公表)と、同時期に何とか「M1E3」を部隊配備したいとの要望があり、(M1戦車製造企業) General Dynamics 社と何が可能かを本契約で煮詰めていく。
●必要技術の成熟度合いと、更なる技術成熟に必要な予算確保が「M1E3」部隊配備時期を左右することになろうが、2024年秋ごろまでに、諸要素を加味した現実的なスケジュールを固めたいと思う
●また米陸軍は今後18か月間をかけ、「戦車内の自動装てん装置」「新たな駆動機関(powertrains) 」「active protection systems」等の技術成熟度を確認して高め、「M1E3」に搭載したいと考えている
●また機動性向上の点から、車体重量を現在の73トンから 60トン程度に抑える野心的な構想を持っており、無人や遠隔操作タレットも検討対象となっている
●駆動機関に関しては、燃費改善や静粛性追求のためハイブリッド機関も検討対象となっているが、瞬発力も同時追求している
●(ウクライナ戦争が浮き彫りにした兵土保護の必要性や無人機脅威等を踏まえ、)「Active Protection System」は最も重視される要素の一つとなっている
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2024年2月に「少なくとも 3000億円を投入し、数十年検討を重ねた末に中止になった」陸軍へリ FARA計画と同様に、「戦車」も迷走を続けています。
「M1E3」が同時投入を目指す Bradley 戦闘車両後継の「M30 機械化戦闘車両」機種選定発表が、2027年度末から28年度初頭との「ゆったりさ」にも「?」感が漂いますが、「M1E3」がどのような運命をたどるのか、生暖かく見つめたいと思います
将来像が描けない米陸軍の迷走
「陸軍2024年に部隊大幅削減含む改編不可避」→https://holylandtokyo.com/2024/01/04/5394/
「3000億円投入済もFARA中止」→https://holylandtokyo.com/2024/02/22/5567/
「とん挫済:軽戦車MPF」→https://holylandtokyo.com/2022/03/29/2914/
「やり直し歩兵戦闘車Bradley後継選定」→https://holylandtokyo.com/2020/07/21/577/