米空軍トップが空軍協会イベントで語る
無人ウイングマンCCAは耐用年数10年とも
6月13日、Allvin 空軍参謀総長が米空軍協会イベントで2026年度予算案編成の難しさについて言及し、次期ICBM計画 GBSDやB-21やF-35等々の主要事業が目白押しの中、候補機体設計や機種選定が山場にあるとも言われる次期制空機 NGAD (Next-Generation Air Dominancefighter)について、「不確実な将来:an uncertain future」に直面していると発言して関係者に驚きが広がっています
また無人ウイングマンCCA (Collaborative Combat Aircraft)については、「耐用年数は10年以下程度」「25~30年使用可能なCCAは求めていない」と表現し、技術進歩に追随した新たなものを、回転良く効率的に追求する姿勢を示すとともに、米空軍作戦構想全体について、大転換の必要性も認識している事を示唆する発言も飛び出し、注目を集めています
Allvin 空軍参謀総長の発言概要
(6月13日付米空軍協会 web 記事より)
●限られた予算内で多数の近代化事業を進めなければならない米空軍にとって、NGAD は今後数年の間に米空軍が実施すべき多くの「選択肢」の中の1つに過ぎない
(注・・・米空軍は従来、NGADを必須の最優先事業と表現し、例えばKendall 空軍長官は 2023年3月に、2024年度中に機種選定を行い、1機1000億円の可能性もあるNGADを約 200機を調達する構想にまで言及していた)
●(NGADの価格や導入時期に関する質問に対し、)我々は多くの優先事業の中で様々な選択をし、あらゆる面で決定を下さなければならない
●CCAは耐用年数が10年以下になるだろう。25~30年維持するようなCCAは求めていない。25~30年も使用するなら、あらゆる機能を果たさなければならなず、機体価格が上昇し、購入できる機数が減り、機体の減少とコスト上昇の「スパイラル」が生じる
●「長持ちするように作る」ことは 20世紀では素晴らしいことだったし、「長持ち」に価値があると考えられていた。しかし、21世紀の現在でもそれが真実かどうかはわからない
●10年間も運用すればミッションも変化する。任務の変化に合わせ、新しいプラットフォームを必要とする。また、1つの任務しか実行できない機体を開発することは「失敗」を意味し、モジュール性、つまり適応性を組み込むべきだ
●(厳しさを増す予算の中、効率的な将来米空軍の在り方を考えるべきで、戦闘方法の変更、例えば「スタンドオフ部隊への転換」を余儀なくされるのではないか、との質問に対し、)私が毎晩考えていることで、そうした根本的な質問への答えを考えていかねばならない
●将来の効果的で効率的な空軍とはどのようなものか。どの程度を外部資源に依存するのか。等々の問いに答えを考えねばならない。一度開始した事業やプロセスを放棄できるような、限りない柔軟性を持ち続ける必要がある。さもなければ自滅する運命にある。
●2026年度予算案の議論を空軍内で始めているが、「今日のリスクと明日のリスク、近代化と今日の即応性」のバランスが極めて難しい。26年度は予算案作成が非常に厳しい
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米海軍は、現在議会で審議中の 2025年度予算要求で、米海軍のF-35C型に続く次期艦載戦闘機 FIA-XX 構想の無期限延期を既に決定していいます。それだけ予算が厳しいということでです
「予算制限による方向大転換の必要性」や「スタンドオフ部隊への転換」についての質問が出て、「開始した事業やプロセスを放棄できるような、限りない柔軟性」とか「私が毎晩考えていること」とのやり取りが行われる・・・そんな時代になったのか・・・としみじみ感じる6月 13日付米空軍協会 web 記事でした
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