米空軍戦闘機が初めて民間機から空中給油受ける

「あくまで訓練への移動給油用」に民間給油機使用
空軍保有の空中給油機は実作戦で主に使用で住み分け
年初にE-3とRC-135に空軍として民間給油機初使用

Omega Air Refuel.jpg米空軍が11月9日、シンガポール空軍との共同演習(Commando Sling 23)のため、所属する韓国Osan基地からシンガポールへ移動する米空軍F-16戦闘機が、米空軍戦闘機として初めて民間空中給油会社のKDC-10給油機から11月6日に空中給油を受けたと発表し、空中給油中の写真を公開しました。

また同時に米空軍は、2023年年初の空軍戦闘コマンドACC演習の中で、E-3早期警戒管制機とRC-135電磁波情報収集機に対して、米空軍として初めて民間空中給油会社による空中給油を行ったと明らかにしました。

Omega Air Refuel2.jpgシンガポールへ移動する米空軍F-16に空中給油を行ったのは、バージニア州に拠点を置く「Omega Air Refueling社」との企業保有のKDC-10で、同社は既に2004年から給油事業を開始しており、米海軍とは2009年に契約締結済で、ネット上ではFA-18・E-2D・X-47(デモ開発された幻の空母艦載ステルス無人攻撃機)やオスプレイに給油する写真が確認できます

また「Omega社」は、米軍機以外にも豪州空軍やNATO諸国の軍用機に空中給油サービス実績のある企業だそうです。なおKDC-10との名称から推定すると、民航機DC-10を改良した給油機で、米空軍がまもなく退役させるKC-10と似た機体とその形状からも考えられます。

Omega Air Refuel4.jpg民間給油機による米空軍戦闘機への給油実施について太平洋空軍司令部のCurtis Holtman空輸任務担当中佐は、民間空中給油機で演習参加や訓練のために移動する空軍作戦機に空中給油することで、「空軍保有の空中給油機を、緊急事態対処など実際の作戦運用に投入したり、有事対処用に即応態勢待機につけるとの作戦コンセプトの実証(proof of concept)のため実施した」、「保有戦力の即応態勢を向上させる仕組みづくりの一貫である」と説明しています

Omega Air Refuel3.jpgなお同中佐は、シンガポール空軍との「Commando Sling 23」演習間に、米空軍F-15CとF-22にも民間給油機からの空中給油を計画していると明らかにしています。

また同中佐は、「Omega Air Refueling社」保有のKDC-10について、最大約25万ポンドの燃料を給油用に搭載でき、輸送機としても40名の乗客とパレット4個分の貨物を搭載可能で、最大搭載重量は10万ポンドだと(アピール)紹介しています
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以下の2019年12月の過去記事でご紹介しているように、同様から米空軍は同様の運用コンセプトで民間空中給油機の利用を検討しており、候補となる企業も「Omega社」以外に複数存在し、機首選定でKC-46のライバル機であったA330ベースの給油機を使用する企業も有料候補だったと報じられていたところです

Omega Air Refuel5.jpg不思議なのは、既に他軍種や同盟国への実績十分な空中給油企業が複数存在しながら、2023年に入るまで米空軍が民間給油機を使用しなかった点ですが、その辺りについてはまんぐーすは把握しておりません。KC-26の不具合対処がボーイングと米空軍間で揉めていた時期であり、コロナ感染期間でもあったことから、様々な大人の事情が重なったのが原因かもしれません。中国脅威を背景に、今後も民間会社利用を進めたい意向が、同中佐の発言に滲んでいますが。。。

2019年当時の検討状況
KC-46に機種選定で敗れたA330改修給油機活用も検討
多くの企業が空中給油サービスを提供中とか
「米空軍が空中給油民間委託を検討」→https://holylandtokyo.com/2019/12/16/2844/

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