空軍基地防空幹部が陸軍の小型対処兵器開発を高評価
空軍は電子戦・サイバー・エネルギー兵器等で防空に貢献
空軍の防空主担当は極超音速兵器や弾道ミサイル対処
8月29日、米空軍協会ミッチェル研究所でのイベントで、米空軍の基地防空体制整備を担当する幹部がパネル討議を行い、対中国の西太平洋での戦いに関し、米軍の各軍種が共通に抱える兵站支援問題で、過去例を見ない緊密&活発な軍種間協力で対策に取り組んでいるが、その一環で西太平洋の分散作戦拠点の防空強化についても、陸軍と空軍間で協力が強化されていると強調しています
前線基地防空の役割分担は、空軍が極超音速兵器や弾道&巡航ミサイル対処を発見段階からフォローし、陸軍がPatriotやTHAADで戦域防空を担う振り分けですが、PatriotやTHAADは保有数も限定的で、ACE構想(Agile Combat Employment)で展開先となる辺鄙な分散基地防空にまで手が回らないことから、陸軍が「追加的な積極防空能力の開発に当たっている:is developing additional capability and capacity for active air defense」と紹介し、
更に陸軍内での開発優先度が「最上位5項目に、下位の方だが入っている」ことや、PatriotやTHAADよりも小型でコスト面や輸送面で負担軽減を目指す優れた開発方向だと取り上げ、開発中の兵器について具体的には言及していないようですが、陸軍の取り組み姿勢を高く評価していると会場の空軍関係者や空軍担当メディアにアピールしています
また別の空軍担当開発官は、空軍も陸軍に依存しているだけでなく、米議会から陸空軍が協力して前進航空基地防衛に取り組むよう指示されることも受け、主に小型ドローンや巡航ミサイル対処を念頭に、「軽量・かさ張らない・持ち運びやすい」かつ「コスト負担が軽い」手段である電子戦やエネルギー兵器やサイバー手法を用いた対処技術の成熟に当たっており、陸軍との協力も一部では行っていると語っています
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同パネル討議の模様(約60分)
28日付米空軍協会web記事から、陸軍と空軍の協力面からご紹介を始めましたが、記事のタイトル「Collaborate on Air Defense That’s Smaller and Cheaper for the Indo-Pacific」が示すように、現状認識として「防空側が重いコスト負担を敵から強いられている」点を問題視し、「need to get on the right end of the cost curve」方向を目指す取り組みのアピールだと徐々に認識するに至りました
「中国の経済と統治の崩壊」が驚くほどの速さで進む中、「中国国民の不満を逸らすため、海外に目を向けさせようとする中国指導部」に警戒は必要ですが、米国&同盟国側のコスト意識も重要です。もちろん、コストから必要な軍事力を考える前に、「惰性でなく、曇りのない目で」何が必要で有効なのかをしっかり見極めることから始めるべきですが・・・
こっちは大規模拠点グアムのミサイル防衛関連
「本格試験が来年に向け活発化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/22/4937/
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-21