継続細部不明も、新たな予算や専従組織は必要ない!と
名称「Replicator」は最新最善手法の迅速横展開を狙い
結局「already doing」を「under one roof」かも
9月6日、Defense-News主催イベントで講演したHicks国防副長官が、8月28日に初披露した「Replicator Initiative」に再び言及し、引き続き細部は不明確ながら、「新たな予算や専従組織は必要ない」、「海空のドローン中心で、地上ドローンもあり得る」、「既に実施している事の多くを一つ屋根の下に」等と説明し、「官僚主義に陥ることなく、国防省が主導的に課題を克服できるかが懸念である鍵である」とも語りました
8月の講演時に説明した同構想の方向性である、多量(Mass)の艦艇やミサイルや人力等で脅威となっている中国に対抗し、今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量」に導入するとの説明を繰り返しつつ、
6日には更にウクライナの戦況も交えて必要性を主張し、「ウクライナでは月に1万機のドローンが投入されているとの推計もあるが、結果として、より大規模な敵の侵攻を小規模な部隊で阻止することに成功し、前線配置の人員や兵站補給の負担削減を可能にして、同時に戦いのテンポを格段に向上させている」とも同構想の意味を説明しています。
また本構想の位置づけについて副長官は「特定の無人システムを新規開発することに力点があるのではなく、国防省のmindsetやcultureの変革の意味合いが強い」と説明し、「技術革新と共に組織文化の変革を推進し、best practicesを迅速に他システムや装備に横展開(replicating)して、良い点の恩恵を素早く共有享受することを目指す」と同構想遂行に当たっての着眼点を述べています
副長官は注力する特定の自立型ドローンシステムを上げることはしませんでしたが、「Replicator Initiative」の目指す方向性を体現するプロジェクトとして、宇宙軍による「大型&高価&多機能衛星から、小型衛星で構築される衛星網(web of satellites)への移行による宇宙アセット全体の強靭化」や「中央軍が推進する、少数の有人艦艇による体制から、商用無人水上艇の大量導入による海洋監視網の構築」の事例を取り上げ、
また将来像の一例として、「大型航空機や地上・海上部隊から射出や投入される、様々な役割を担うドローン(ADA2:all-domain attritable autonomy)が、様々な高度に群れを成して配置され、活躍する姿をイメージしてほしい」と語りました
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フォローしてませんでしたが、来月10月から始まる米国2024年度の予算は、未だ米議会で未承認の「異常事態」らしいので、Hicks国防副長官も「Replicator Initiative」に多額の新規資金が必要になりそうな印象を米議会や国民に与え、2024年度予算成立を邪魔するようなことを避けたかったのかもしれません
8月28日の副長官講演の後で、担当報道官が「あくまで現有の各種計画の再整理だ。コストも数百億円程度だ」とプレスにメール配信して話題の沈静化を図った節があり、いきなり「味噌をつけた」形の本構想ですが、「既存の事業を一つ屋根の下に」置くことで、「官僚主義に邪魔される」ことなく、「mindsetやcultureの変革」につなげて頂きたいと思います
今後2年間で小型安価な自立型ドローン大量導入をぶち上げる
「国防副長官がReplicator構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
大型で高価な無人機CCA関連
「XQ-58Aが集大成3時間飛行」→https://holylandtokyo.com/2023/08/08/4922/
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/