試験飛行を2025年開始予定
「動翼」なく「Active Flow Control」で機体制御
機体の軽量化・耐久性強化・ステルス性向上など狙い
5月16日付TheDeBreifなど複数の米航空メディアが、同15日にDARPAが公開した、「動翼」の無い航空機開発計画「CRANE:Control of Revolutionary Aircraft with Novel Effecters」の試験開発機体X-65イメージ図を報じています
航空機の「動翼」とは、エルロン、エレベーター、およびラダーからなる操縦翼面(いわゆる舵面)で、3つはそれぞれ航空機の回転(ロール)、上下(ピッチ)、左右(ヨー)方向の動きを制御するものですが、「CRANE」計画ではこの動翼(traditional, exterior-moving flight controls)を、AFC技術(Active Flow Control)に置き換えようとしています
そしてDARPAはこのAFC技術を用いて、機体周辺の空気の流れを制御して機体を動かす実験的な無人機(X-65:experimental uncrewed aircraft that maneuvers by controlling the air flow around it)を製造し、2025年からの試験飛行開始を「CRANE」計画で目指しています。
DARPAの「CRANE」計画は数年前から開始されていたらしいですが、本格的に表面化したのはDARPAが2023年1月に「Aurora Flight Sciences社」と契約し、Phase 1「基本コンセプト成熟」、Phase 2「飛行制御ソフト開発と制御技術開発」、Phase 3「機体重量7000ポンド(3トン強)のX-65試験飛行」の3段階で進めることを明らかにしてからで、その後わずか5か月でイメージ図が公表されたことで話題となっています
この「動翼」をAFC技術(Active Flow Control)に置き換えることのメリットは、部品の可動部分や接続部分を無くすことで、機械的複雑さを無くして信頼性向上や軽量化が図られ、関連部品の摩耗等による交換不要で維持整備負担が軽減され、更にステルス性向上にもつながる等とされているようです
またDARPAは実験機X-65に、「モジュラー構造の翼:modular wing configurations」を要求しており、今後民間機への応用も期待されるAFC技術(Active Flow Control)が官民挙げての研究で日進月歩で進化することも想定し、最新技術を開発途中でも容易に取り込める配慮もしています
このAFC技術が確立されると、航空機産業界への影響が少なくないと思われますので、折に触れ今後もフォローしていきたいと思いますし、以下の過去記事で「AI空中戦ソフト技術」や「小型無人機対処兵器」開発にも関わっているボーイング傘下の企業「Aurora Flight Sciences社」にも、引き続き注目したいと思います
Aurora Flight Sciences社案は以下のDARPA計画候補機にも
「大型水上離着陸機の候補」→https://holylandtokyo.com/2023/02/15/4268/
同社の名前が出てくる記事
「小型無人機対処装備を求めオプション試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「8企業がAI空中戦でF-16人間操縦者に挑む」→https://holylandtokyo.com/2020/08/19/528/