8企業がAI空中戦でF-16パイロットに挑む

速報「AlphaDogfight Trials」
人間操縦者とAI操縦者によるバーチャル空中戦対決の結果
F-16想定のシミュレーター対決(Gun攻撃のみ)
AI側は8企業チームの総合評価で最強の「Heron Systems社」
人間はWeapon School卒業直後の州空軍操縦者「Banger」2千時間以上の経験
5回「Basic fighter maneuver」シナリオで対決

5-0でAI側の圧勝で終了!
対決後の人間操縦者コメント「米空軍が通常の訓練で安全上から設けている、敵側との高度差500フィートやGun攻撃時のAOA(angle of attack)制限にAI側はとらわれていなかった。最初の対決でこの点に気づき、2回目以降は私もより攻撃的に行動し、生存時間を徐々に伸ばすことができた。AI操縦者は判断が人間よりも格段に早く、その差も出たように感じた」と述べている

詳しくは20日付米空軍協会やC4ISRnet記事をご覧ください
→https://www.airforcemag.com/artificial-intelligence-easily-beats-human-fighter-pilot-in-darpa-trial/
→https://www.c4isrnet.com/artificial-intelligence/2020/08/21/ai-algorithm-defeats-human-fighter-pilot-in-simulated-dogfight/
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実際には8企業の勝者のみがF-16パイロットに挑戦
8月18-20日にバーチャル環境で

AlphaDogfight.jpeg米国防省最上位の研究機関であるDARPAが3年計画(2023年春頃まで)で進めている、人工知能AIを作戦機に搭載して空中戦に活用し、人間操縦者をより大局的な判断やAI搭載無人機の「指揮統制」に従事させようとするACEプロジェクト(Air Combat Evolution)の一環として、先進AIが人間操縦者とバーチャル空間で空中戦対決を試みる「AlphaDogfight Trials」を、8月18-20日の間に開催するとDARPAが発表しました

当初は、7月末にラスベガスで開催された「AFWERX」との米空軍技術展示商談会で決勝戦を披露する予定だったようですが、コロナの影響で上記期間にオンライン開催されることになったようです
AlphaDogfight2.jpeg「AlphaDogfight Trials」ついては後程ご説明するとして、2019年5月に発表されたDARPAのACEプロジェクトについて復習しておくと・・・・

— 空中戦を中心とした航空作戦全般にAIを導入し、操縦者負担を軽減して他の大局的な判断に集中させることを狙いとし、更に有人機と無人機の連携を、様々なシナリオ下で可能にする技術開発にも重点を置く
— 空中戦シナリオを、異機種、多数機、作戦レベルの多様なシナリオへ広げ、これらの過程で、人工知能による自動化への人間の信頼感を高めることを大きな狙いとする
— 目指すところは、一人の操縦者が複数の自律的に行動可能なAI無人機を従え、より大きな作戦を遂行可能なミッションシステム指揮官となることを可能にすること

— ACEは以下の4つの技術分野があり、複数の企業が担当
—- 第1に、空中戦アルゴリズムを構築
—- 第2に、操縦者と無人機の間の信頼感構築と信頼度測定
—- 第3に、第1,2、4分野の進捗具合を把握し規模を拡大
—- 第4に、実際の有人機と無人機での融合(integrate)でデモ飛行

AlphaDogfight3.jpegDARPAのACEプロジェクトのほかにも、米空軍研究所AFRLが既存の戦闘機にAIを搭載し、2021年に人間が操縦する戦闘機と空中戦を行うプロジェクトを進めており、プロジェクトの成果については「多数進行中の他のAI活用システム」に融合・統合されて利用されることになっているようです

いずれのプロジェクトも、「人間操縦者をAIにサポートさせたら素晴らしい」とか、米空軍が優先推進する「Skyborg:無人ウイングマン構想」に生かすとか、空中だけでなく地上の維持整備にもAIを生かすなど、人間の領域を冒さないよう表現して「戦闘機族」を刺激しない、AI科学者たちの「心遣い」が感じられる今日この頃です

そんな「心遣い」と「やさしさ」に包まれた、「AlphaDogfight Trials」(囲碁のAlpha碁をまねた?)の計画をご紹介いたします

7日付C4isrnet記事によれば
F-16 RefuelAFG.jpg●7日、DARPAが発表した「AlphaDogfight Trials」計画によれば、8月18-20日の間に昨年選ばれた8つの企業のAIチームがバーチャル空間で優劣を競い、優勝AIチームが決勝戦で人間のパイロットとバーチャル空間で空中戦対決を行うことになる
昨年選ばれた8社は、Aurora Flight Sciences, EpiSys Science, Georgia Tech Research Institute, Heron Systems, Lockheed Martin, Perspecta Labs, PhysicsAI and SoarTechの8社であるが、昨年の企業選定から1年余りの期間で、AI空中戦に関して目覚ましい進歩を遂げているとDARPAは説明してい

まず「AlphaDogfight Trials」の第1ラウンドでは、Johns Hopkins 大学応用物理研究室が開発した5種類のAIシステムと8チームが個別に戦い各企業の出来栄えを基礎評価し、第2ラウンドでは8チームが総当たり戦で優劣を決める
第3ラウンドは、総当たり戦の上位4チームがトーナメント方式で戦い、勝者が決勝戦で人間操縦のF-16と戦うことになる

F-16.jpg当初の計画では、7月末にラスベガスで開催された「AFWERX」で決勝戦を披露する予定だったが、この計画では近傍に所在するネリス空軍基地の「Air Force Weapons School」から操縦者を招いて対決してもらう計画だったが、8月20日の決勝戦で誰が人間側の操縦をするかは不明
DARPAは「AlphaDogfight Trials」のオンライン観戦が可能だとし、米空軍のみならず、海軍海兵隊戦闘機操縦者や、米軍指導者やAI研究者の観戦登録を呼びかけている
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米軍以外の人間が観戦できるのか不明ですが、夏休み明けには刺激的なイベントになりそうです
DARPAが掲げる本プロジェクトの目的には、「人工知能AIに対する人間の信頼感を高めることを大きな狙いとする」と掲げられており、「人間の壁」が大きいことが感じられます

AlphaDogfight4.jpegAIへの人間の信頼感が向上していかない大きな理由の一つに、なぜAIが「なぜ」その結論に至ったかの「思考過程」を説明してくれない(できない・解析できない)点にある、とよく言われます。ビジネスや医療の分野にも進出が進むAIですが、そのあたりの突破にも期待したいところです

無人機空中戦の検討プロジェクト
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-19
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-05
米空軍の計画
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3
豪州とボーイングの取り組み
「試験初号機を披露」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-05-1
「豪州とボーイングが共同で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-2
無人ウイングマンの位置づけ
「日米が協力すべき4分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18
「戦闘機族ボスがNGADを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

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