【追加情報】10月14日現在、2機のみ飛行再開と米空軍発表
●9月27日から116機が飛行停止
●1機は点検で問題なし確認、1機はプロペラ交換で復帰
●報道官「技術的、兵站支援面の両面で複雑な問題であり、我々は対処の初期段階にある」
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プロペラ部品に亀裂発覚で飛行停止に
C-130Hの「54H60」プロペラ使用機116機を飛行停止中
日本もH型を16機保有だが影響は???
9月27日に米空軍が保有する116機のC-130Hに飛行停止を命じ、30日に同型機が使用する「54H60プロペラ」部品に亀裂が見つかり飛行停止にしていると公表しましたが、10月7日現在で飛行停止解除見通しは立っていない模様です。
米空軍が保有するC-130輸送機の主力はC-130J型で、今回飛行停止になっている旧式のC-130H型機の大部分が州空軍(Air National Guard)や予備役空軍(Air Force Reserve)が保有している模様で、米空軍輸送コマンド報道官は他の輸送機で空輸所用を穴埋め可能と説明していますが、史上最大級の被害をもたらしたハリケーン通過直後であり、小回りの利くC-130への需要は極めて高いはずです
亀裂が見つかったCollins Aerospace社製の旧タイプ「54H60」プロペラを、新型プロペラ「NP2000」に交換するのが解決法の一つですが、対象全機用に新型プロペラ数量が確保できてはおらず、旧タイプ「54H60」プロペラ搭載機も点検して異常が無ければ飛行許可を与える方向のようです
米空軍輸送コマンドや予備役空軍報道官が断片的に状況を説明していますが、飛行停止対象になったC-130H型機の担っている任務の重要性、部隊の点検整備能力、投入可能な新型プロペラ数量等々が絡んだ複雑な方程式を解いて、何を優先して何をするのか、どのC-130H任務にどの代替輸送機を投入するのかなどを大騒ぎで検討している模様です
輸送機であるC-130Hだけでなく、C-130輸送機を改良した通信妨害機EC-130H Compass Calls、特殊部隊の潜入・退去・補給および捜索救難活動を担うMC-130H、そして米海軍用輸送機TC-130Hも飛行停止となっているようです
問題の「54H60」プロペラを製造したCollins Aerospace社は、「この問題は、我が社が出荷した後に、我が社およびそのネットワーク企業が関わらない部外業者によるメンテナンス過程で生じたものだ」、「(従って)今回の問題は我が社が製造するプロペラや関連部品、NP2000プロペラに何ら影響を与えない」と声明を出しましたが、米空軍輸送コマンドはこの声明に反応していないとのことです
飛行停止になっている116機の所属部隊の内訳は細部不明ですが、予備役部隊報道官は、予備役には4つの部隊に計34機の飛行停止対象機があり、予備役部隊内でまず部品や機体のやりくりを検討しつつ、空軍輸送コマンドとも意思疎通を図っているとのことで、「我々は、最優先すべき任務がどれかを見極めるため最善を尽くしている」と語っています
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米空軍公式webサイトによると、C-130輸送機を米空軍は計428機保有(正規軍145機、州空軍181機、予備役102機)しており、飛行停止の116機はその27%を占めます
他の輸送アセットでカバー可能とは嘘ではないでしょうが、世界のベストセラー輸送機(世界70か国以上に計2500機が製造)の使い勝手の良さは他に代えがたいものがあり、その早急な復旧を待ちたいと思います。
それにしても、航空自衛隊は保有する16機のC-130Hをどうしているのでしょうか?
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