超極秘プロジェクトを語ることを米空軍が少し許可か?
四半期決算発表会なので価格やインフレ影響が話題の中心
インフレを加味すると現在1機880億円です・・・
4月28日、今年初飛行が予期されている超極秘プロジェクトB-21次期ステルス爆撃機開発について、四半期決算発表の場でNorthrop Grumman社女性CEOのKathy Warden氏が語り、順調な開発状況を米空軍から評価され、報奨金約80億円を臨時収入として計上する予定だと述べ、一方で最近の物価上昇の影響を数年後に始まる本格製造段階の懸念事項としました
製造企業幹部がB-21について語るのは初ではないかと思いますが、性能や製造ペースについては一切触れず、開発段階(EMD:engineering and manufacturing development)の緊要システム融合を含むテスト段階に入っているが、2023年には開発段階EMDと並行して、21機製造する低レート生産段階LRIP(low-rate initial production)に入ると説明しました
また、本格製造段階(production phase)には2024-25年に移行する見通しだと言及しましたが、本格生産時の機体価格については交渉に入っていないと言及を避け、最近の急速なインフレで懸念されているだろうが、効率的製造法を検討しながら開発を進めており、インフレも沈静化するだろうから同社としての利益は安定して伸びるだろうと自信を示しています
まぁ・・・決算発表会なので「お金」の話中心ですが、今後5年間で2兆5000億円が投入される米軍の巨大かつ数少ない順調プロジェクトですので、剛腕女性CEOのお話をご紹介しておきます
28日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍が認めているように、B-21(の初号機)は初飛行に向けた緊要なシステム融合を含む地上テスト段階に入っており、更に他に5機が様々な用途のための組み立て段階にある
●この開発プロジェクトは、最新のデジタル設計と先端製造技術の活用により、初飛行前に様々な角度からリスク分析を行ってリスク低減措置をとっており、同時に製造の効率性分析を徹底し、固定価格契約となっている21機の低レート製造単価を満たすよう取り組んでいる
●結果として現在見通せる範囲では、開発段階EMDと低レート製造段階LRIPを同時並行で進める2023年の収入は横ばいで、2024年には上昇に転じて10年間は上昇傾向を維持する見込みとなっている
●なお、機種選定時の価格要求は2010年物価基準で1機「$550 million」、米空軍による2019年の物価勘案再計算では「$600 million」、そして今日時点での弊社試算では「$741.69 million」となる。本格生産価格を決定する数年後には、現在のインフレ状態が緩和されると予期しているが。
●低レート製造段階21機の価格は固定契約だが、2025-26年からと予期される本格製造段階(production phase)に入るまでには2-3年の検討時間が残されており、物価インフレも落ち着くと予期されるところ、更に経験を踏まえて製造効率性を高めて政府の期待に応えつつ収益性を高めていく所存である
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2015年に米空軍が機種選定を行った際の前提では、B-21の総調達機数は80-100機とされましたが、その後米空軍はじわじわと様々な理由をつけて導入機数増を主張してきており、「80-100機」が「100機」となり、いつの間にか「少なくとも100機」が普通になり、今では米空軍GSコマンドは「145機」必要だと言い始めています。
今後の初飛行披露や性能をアピールしていく過程で、この機数も米空軍はふくらましていくのでしょう。
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