31機のうち2023年に15機が退役し、残りも数年で引退
空軍長官:E-3後継機選定は「今後数か月で」
3月29日付Defense-Newsは、28日に発表された2023年度国防予算案で米空軍は約140機の老朽作戦機を退役させる計画であるが、その中には40年以上使用してきた保有31機の早期警戒管制機E-3が15機が含まれていると紹介し、併せてE-3後継機が「今後数か月で決定される」とのKendall空軍長官発言を紹介しています
予算案では、2023年に15機を退役させ「機体の防錆保管場所」に移動させ、残りの機体も「今後数年」で退役させる方向が示されているようです
現在米空軍が保有するE-3は31機で、その内27機がオクラホマ州Tinker空軍基地で管理されていますが、アラスカのエレメンドルフ基地と沖縄の嘉手納基地に展開配備している残りの4機を何とか運用可能状態にするため、「部品の共食い」など苦しい機体管理を強いられ、2021年7月にTinker基地兵士がメディアに士気が上がらない部隊状況を訴え、ゴタゴタの末に部隊指揮官が解任される事態に至っています
なお今般のウクライナ侵略事案に際しても、派遣元や派遣先は不明ながら、E-3が欧州上空で情報収集飛行を行っていると記事は伝えています。そして、2023年に15機が抜ける穴は小さくないが、必要な任務継続は可能だとの空軍幹部の言葉を伝えています
元々米空軍はE-3の後継機種は導入せず、宇宙を含めた多様なセンサー情報を集約して迅速に指揮統制するABMS(Advanced Battle Management System)導入を急いでいましたが、技術的な成熟や予算面での限界もあり遅々として進まず、ABMS導入までのギャップを埋めるE-3後継機導入が不可避となり、最近になってE-3退役や後継機が急に話題となっているところです
3月25日に記者団と懇談したKendall空軍長官は、「(E-3後継機の)最有力候補はE-7だと思うが、最終決定までには細部にわたる慎重な検討や確認も必要だ。今後数か月で意思決定する」と語っています
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2023年度予算案にE-3後継機の購入予算が含まれているのか把握していませんが、A-10のような早期退役が困難を極めた機体とは異なり、老朽化が著しく稼働率が低下して維持費高騰のE-3退役は、普通ならそれほど問題にはならないでしょう。
でも、ウクライナや欧州で緊張が高まる中、湾岸戦争でクウェートから退却するイラク軍戦闘車両の動向を把握して大活躍だったE-8・JSTARSの早期退役も含め、十分な代替能力が確保できるまで、米議会の反対があるかもしれませんねぇ・・・。
あと、E-3の兄弟のような航空自衛隊のみ保有のE-767の維持は大丈夫なんでしょうか? こっちの方が気になります・・・
E-3は平均年齢43歳
「急にE-3後継機が大きな話題に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-28
「米空軍航空機は依然高齢です」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-27
「空軍長官が7つの優先事項を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-12
「PACAF司令官:E-7ほしい発言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-27