アラスカにBMD用の巨大新型レーダーLRDR完成

LRDRはイージスアショア用AN/SPY-7(V)1の原型
宇宙監視への活用も可能
将来的にはソフト更新で極超音速兵器の探知追尾の可能性も

LRDR MDA.jpg12月6日、米ミサイル防衛庁MDAは、アラスカのクリアー空軍基地で行われていた地上配備型弾道ミサイル探知追尾レーダーLRDR(Long Range Discrimination Radar、長距離識別レーダー)の工事が完成し、今後2023年の米空軍による正式運用開始に向け、指揮統制システムとの連接等を来年行うと発表しました

2022年に行われる指揮統制システムとの連接とは、GMD(Ground-Based Midcourse Defense system)及びC2BMC(Command and Control, Battle Management and Communications)との連接を指します

LRDR MDA2.jpg声明の中でMDAは、「LRDRが完全運用を開始すれば、全てのクラスの弾道ミサイルをより遠方で探知可能で、維持整備のための中断もほどんど生じない」、「LRDRの分解能は、敵の真の弾頭とデコイ弾頭を区別を可能とするだろう」とアピールしています

またMDAは、LRDRが宇宙ドメイン監視にも貢献し、衛星だけでなく、宇宙デブリなどの監視にも貢献できる能力があると説明しています

LRDR MDA3.jpg更に、現時点では弾道ミサイルの探知追尾に集中しており、公式に具体的計画が固まっているわけではないが、LRDRはソフトのアップグレードにより、極超音速兵器の探知追尾能力を獲得できる可能性を持っているとその拡張可能性をアピールしています

本来であれば2021年7-9月の間で、模擬飛翔体を使用した探知追尾テストを実施している計画でしたが、コロナ感染の影響で建設が遅れ、地上試験の初期段階が開始されたばかりの状態で、今後地上での開発テストと運用テストが行われ、その後飛翔体を使ったテストに進むことになるようです

2018年の過去記事「LRDR開発が順調」によれば
LRDR MDA4.jpg●LRDRは、イージス艦用弾道ミサイル対処レーダー(AN/SPY-1)の25倍のアンテナ面積を持つ
●LRDR技術は小型化することが可能で、例えばイージスアショア用に日本に配備予定のレーダーや、ハワイ配備のHRD-H(homeland defense radar in Hawaii)も、LRDRの小型版である

●現在運用中のレーダーとは異なり、LRDRは運用しながら維持整備が可能である。つまり、空中線部が多数のブロックに分かれており、ブロック内の送受信素子を交換する場合でも、当該ブロックのみを取り外せばよく、レーダー全てを停止させる必要がない

以下ではググった情報からLRDRをご紹介
LRDR MDA5.jpg●LRDRの正式名称はAN/SPY-7で、窒化ガリウム(GaN)をベースとした固体化アクティブ電子走査アレイ(AESA)早期警戒レーダー
●ロッキード社によれば、LRDRの試作版に使用されるGaNデバイスは、日本の富士通製

●2015年10月にMDAと7.8億円の契約
●2019年にクリアー空軍基地で建設開始
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もう少し具体的な性能や特徴をご紹介できれば良いのですが、年末の多忙さに飲み込まれ、ここまでといたします

ウクライナ情勢も気になるのですが、来年なればもう少しはっきりするだろうと眺めております

関連の記事
「LRDRレーダー開発が順調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-10

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