2020年30.55歳から、 2021年29.1歳へ若干改善
ただ、米陸軍は15.3歳、海軍は14.4歳
豪空軍は8.9歳、英空軍は16.6歳と比べれば・・・
11月23日付米空軍協会web記事が、米空軍航空機の「機種別平均年齢データ」を紹介し、米空軍全体では2020年時点より2021年時点の数値が若干改善したと紹介し、新型機のF-35(約300機)やKC-46(50機)導入効果によるものとしつつも、他軍種や同盟国空軍に比し2倍以上の高齢であり、早急なテコ入れが不可欠と訴えています
こうした高齢化を招いた原因は様々で、冷戦後の1990年代に「平和の配当」を求め装備更新が疎かになったこと、2001年以降の対テロ戦争が従来装備で対処可能だった事、B-2やF-35など最新装備の開発が長期化&価格高騰で導入が遅延したこと等々が考えられますが、予算見通しからすれば解決は容易でなく、米空軍の在り方そのものに問題を投げかけています
冒頭でご紹介した陸海軍や豪英空軍の平均機体年齢とは、保有機体の多様さや任務カバー範囲の違いから単純な比較が難しい面もあり、老齢機体を延命措置しつつ上手く活用しているとの見方もできますが、とりあえず記事からいくつかの機種の平均年齢と関連情報をご紹介します。全機種のデータが揃った記事ではありません
23日付米空軍協会web記事によれば
●50歳以上(8機種)
・KC-135,NC-135, RC-135, TC-135, WC-135 60.35歳
C-135輸送機を様々な特殊用途機に改造した機体は、いずれも部品枯渇で維持費が高騰し、稼働率も低下して後継機検討が大きな課題となっている
・B-52 59.8歳
エンジンやレーダー換装を経て2050年代まで運用され100歳到達見込み
・AT-38、T-38ジェット練習機 60歳近い
T-7A RedHawk への転換に2030年代前半まで必要 70歳到達確実
●40歳以上(13機種)
・E-4B指揮統制機 47.38歳
・E-3 AWACS 42.99歳
●30歳以上(22機種)
・F-15C 37.69歳、F-15E 30.99歳
共に導入当初は12-15年の使用が想定されていた
・B-1 37.69歳
・C-5M 35.14歳
60~70年代製造のC-5Aや、80年代製のC-5Bを改修、実際は高齢
●20歳以上(31機種)
・E-8 JSTARS 20.8歳
ただし、原型のB-707として使用されていた期間はカウントされていない
・B-2が27.29歳
●20歳以下
・MQ-9(約320機) 6.05歳
・F-35(約300機) 4.34歳
・HC-130捜索救難機 4歳
・KC-46(50機) 1.48歳
・F-15EX 0.5歳
●ミッチェル研究所のDeptula航空研究部長(退役空軍中将)は
・「30年に渡る航空戦力の放置が、この戦力高齢化を招いた」、「近視眼的な投資優先の決定により、老朽機への改善投資は阻害されてきた」、「過去27年間、米空軍省は、陸軍省や海軍省より予算配分が少なかった」、
・「現状の問題は慢性的で迅速な措置が必要。国防省は問題をこれ以上先送りしてはならないし、空軍は戦力近代化に優先投資すべきである。さもなければ国家防衛戦略遂行の妨げになる」と訴えた
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記事にはありませんが、老朽化&維持費高騰の話題で欠かせないKC-10空中給油機も50歳代でしょうし、空軍一番の保有機数F-16や早期退役が議論されるA-10も30代後半でしょう。
戦闘機の世代別&機種別構成の将来体制議論を中心に、爆撃機や空中給油機の将来構想はときどき取り上げてきましたが、輸送機やへり、多用途機についても機会があれば取り上げたいと思います
しかし、予算の見通しと老朽化状況を考えると、アセットの絞り込みや多用途化が必要かもしれませんねぇ・・・
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