米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領

本格開始の発射試験準備と並行して部隊づくり
早速VRトレーニングで部隊運用準則TTP準備へ
2023年中の部隊配備を目指し懸命の努力

Army hypersonic2.jpg7日付及び12日付Defense-Newsが、米陸軍が進める極超音速兵器(LRHW:Long-Range Hypersonic Weapon:通称「Dark Eagle」)開発と部隊準備について紹介し、実ミサイルを除く地上機材や模擬ミサイルキャニスター等がワシントン州の部隊に配備完了し、2023年運用開始に向け、本格的な試験や部隊運用の細部手順検討に向けた準備を開始したと報じています

また担当の米陸軍中将が講演で、米軍の装備開発プロジェクト史上例を見ない迅速さで2019年2月から2年半でここまで進み、2023年の部隊配備に向け更に加速して前進を図るポイントについて語っていますので、ご紹介いたします

10月7日に実弾除く基本装備の提供完了
Army hypersonic3.jpg●2021年5月、ワシントン州の米陸軍第1軍団・第17野戦砲旅団・第5大隊の第3中隊に、LRHWの最初の装備である訓練用キャニスター(模擬の極超音速兵器を格納した箱)が到着し、部隊で基礎構造や操作等の学習に使用
●同年10月7日、LRHWの指揮統制センター装置、4台の移動式発射機(キャニスターを搭載する車両発射機)、発射機等のけん引輸送用のトラックやトレーラーを受領

Army hypersonic4.jpg●10月12日の週から同中隊は、受領した装備やヴァーチャルトレーニング機材を使用し、LRHWの本格試験に備えた準備を行うとともに、LRHW部隊運用の運用準則TTP(tactics, techniques and procedures)を定める検討に入った
●今後の本格試験は、2022年度第一四半期(今年10-12月)に米海軍と初の統合発射試験に始まり、第四四半期(2022年7-9月)と2023年第二四半期(2023年1-3月)の試験へと続く。ただし最初の2022年度第一四半期(今年10-12月)の試験には、5大隊3中隊は参加しな

米陸軍のNeil Thurgood担当中将が迅速化の秘訣を
(10月11日の米陸軍協会総会での講演で)
Thurgood.jpg●LRHW開発が終了してから部隊運用法を具体的に考えていては、2023年の運用開始期限に間に合わないので、開発試験を支援する部隊が部隊運用準則TTPを並行的に検討することとしている。そのために実運用部隊にVR教育訓練機材を含めた実装備を先行提供した
●従来の装備品開発は、担当企業に要求性能を投げて委託する形だったが、極超音速兵器の飛翔ホディー作成技術はSandia国立研究所しか保有しないので、契約企業のDynetics社関係者が同研究所が所在するニューメキシコ州に出向いて技術を学び、現在は同研究所内で同社関係者が学んだ手法で飛翔ホディーを試作している

Army hypersonic.jpg●試作品が同研究所で認められれば、同社工場に持ち帰り、現在建設中の同社工場で本格生産の準備に入ることになる。この方式も極めて異例であるが、迅速に進めるために考え抜いた末の新手法である
●もう一つは予算化計画の先行準備である。LRHW計画の元締めである米陸軍RCO(迅速開発推進室)には、既に開発装備具現化&部隊配備計画を複数年の予算計画に落とし込む計画担当官が顔を出しており、開発を進め装備の全体像を固める過程を見ながら予算化案を並行して作成し、開発に目途が立った段階で予算計画も完成している段取りになっている

●通常であれば、開発完了から予算計画化まで2年ほど間隔が空き、企業の人員維持が課題となるが、その手順を並行進行することで効率化している
●更に、陸軍が飛翔ボディーを主担当し、海軍がロケット推進を主担当する分担共同開発も、プロジェクト迅速推進の大きな原動力となっている
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Army hypersonic4.jpg米軍における極超音速兵器について、ここ最近、複数の記事でご紹介していますが、関係者の懸命の努力が続いている中、技術的には本格的な試験の大きな壁が前方に立ちはだかっている雰囲気を感じています

国防省DARPAや各軍種の迅速計画推進室や部隊関係者、更に取りまとめ企業のロッキードの動きなどが複雑に絡んでいますが、米国防省と米軍の底力に期待したいところです

米軍の極超音速兵器開発
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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