空軍長官:B-21爆撃機を現在5機製造中

今年1月時点では2機だったのに
決して楽観してはいないが、ここまでは順調

Kendall AFA2.jpg20日、Kendall空軍長官が米空軍協会の航空宇宙サイバー会議で講演し、今年1月に2機目の試験機製造開始が伝えられていた極秘プロジェクト次期爆撃機B-21について、「5機の試験機が現在製造されている」と語り、慎重な姿勢を見せつつも順調な開発状況を示唆しました

2016年2月に担当企業がB-2製造経験があるNorthrop Grummanに決定したB-21ですが、以下の基本方針のみが公表され、細部性能や状況は非公開で、秘密のベールに包まれたまま開発が続いています

・2020年代半ばに運用開始
・強固な防空網を突破可能な性能(ステルス等)
・80-100機製造で1機約600億円($550million)以下
・無人機もあり得る(正式にはoptionaly manned)
・既存成熟技術を活用し開発リスク局限

B-21 bomber.jpg担当企業決定後は、2018年12月に「重要設計審査:critical design review」終了との発表があり、2019年7月には米空軍副参謀総長が講演で「初飛行は863日後だ(2021年12月3日)」と語り開発の順調さをアピール、更に2019年秋に格納庫らしき場所で撮影された写真1枚が公開されました

2020年8月に米空軍迅速能力開発室(RCO:Rapid Capabilities Office)のRandall Walden室長は、コロナの影響はあるが、「全ての困難で重要な設計段階や、難しい製造問題は全て解決済みの過去の話となっている。現在は実際に機体を製造し、飛行試験に進むことに集中している」と状況を説明しました。

B-21 B-2.jpg2021年1月に同室長は、B-21開発がおおむね順調で、初号機を2022年初旬に受領し、2022年半ばに初飛行を予定していると述べていました。また、機体強度や耐久性試験を主目的とした2号機の製造も始まっているとその際明らかにしています

一方で機体調達数については、当初「80-100機」だったものが、最近では「最低でも100機」との表現を揃って空軍関係者が使用し、爆撃機部隊関係者は「178機」といった数字も主張し始めています。一方で無人機追求を示唆した「optionaly manned」との表現はいつしか消滅し、有人機のみで追求されているようです

そんな中でKendall空軍長官は20日
Kendall AFA.jpg●我々は数10年前の投資で得た爆撃機部隊に依存し続けてきたが、その様子は急激に変わり始めている
●私はこの場で、現在加州Palmdaleにある米空軍登録ナンバー第42工場で、5機のB-21爆撃機の試験機が製造ライン上にあることをお知らせする

●皆さんは、私がB-21について楽観的な話をするところを聞いたことがないと思うが、全ての開発計画はリスクと隣り合わせであり、B-21も例外でないからだ
●しかし、少なくともこれまでのところ、B-21開発は実配備に向け良い進捗状況にある(program is making good progress to real fielded capability)
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B-21 artistic.jpg米軍関連の開発兵器で、順調と言えるのはボーイング担当のMQ-25空母艦載無人空中給油機と、このB-21次期爆撃機だけと言っても過言ではありません

中露に後れを取り、3軍と国防省が最優先事業として協力して取り組んでいる極超音速兵器についても、同イベントでKendall長官は「進捗はしているが、もっとできるはずだ」と不満を口にし、大型のAGM-183だけでなく、戦闘機に搭載可能なより小型の「Hypersonic Attack Cruise Missile」についてもおしりをたたく発言をしています

米海軍のフォード級空母、次期SSBNコロンビア級、米空軍のF-35やKC-46、更に計画の存続すら危うい次期ICBM(GBSD)開発などなど、予算確保の段階から厳しい状況です。米空軍に関しては、老朽装備の早期退役を認めてくれれば資金確保は可能との主張が繰り返されていますが・・・

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