33歳のKayla Barron少佐がNASA宇宙飛行士として
2024年の月着陸めざし、今年10月末にまず国際宇宙船へ
超優秀で文武両道の女性です
18日付Military.comが、女性初の月面着陸を目指すNASAの「Artemis計画」の候補者として、女性初の潜水艦勤務士官でもあるKayla Barron海軍少佐を紹介しています。同少佐は海軍所属のままNASAに出向中で、まず宇宙経験第1弾として、今年10月に国際宇宙ステーションでの初宇宙ミッションに挑むようです
NASAの「Artemis計画」は、人類を初めて月面に送り込んだアポロ計画と「双子」の計画とNASAは呼んでおり、2024年までに「女性と有色人種の宇宙飛行士」を月面に送り、月面での維持可能な活動(sustainable exploration)を初めて実現することを目標としているようです。
具体的なことは調べていませんが、女性と有色人種を月面に送り込んで初めて、人類として月面に降り立ったと認定するのでしょう。いかにも現代のアメリカです
NASAのKayla Barron海軍少佐紹介映像
これまでもいろんな米軍や国防省で勤務する女性をご紹介してきましたが、この33歳のKayla Barron少佐も飛びぬけて優秀な方で、米国が一つの「Role Model」として扱い育てている人物ですので、NASAの「Artemis計画」は脇に置いておいて、同少佐をご紹介したいと思います
Kayla Barron海軍少佐の経歴
●1987年9月生まれで、ワシントン州育ち。2007年海軍士官学校に入学し、システム工学を専攻する傍ら、長距離走やクロスカントリーでも米海軍代表チーム入りして優秀な成績を納める
●2010年海軍士官学校を1051名の同級生中5番で卒業し、優秀卒業生として、ビルゲイツ財団から英国ケンブリッジ大学大学院派遣士官に選ばれ、同大学では原子力工学を学び修士号を取得するとともに、現在の夫である、ハーバード大卒の米陸軍特殊部隊士官と出会う
●また、そのリーダーとしての資質と統率力が評価され、米国防省が潜水艦への女性乗艦門戸を開くタイミングにも当たったことから、初の女性潜水艦乗艦士官候補に選ばれる。
●英国ケンブリッジ大学院から帰国後、2013年にオハイオ級戦略原潜Marine乗艦を命ぜられ、3回の長期作戦任務を経験する
●2015年8月、母校である海軍士官学校長の副官を命ぜられ、校長のスケジュール管理や補佐官業務を行うとともに、後輩士官候補生にとっての「Role Model」として学生指導にもあたる
●2017年、NASAが募集する宇宙飛行士訓練生に18000名の中から選ばれ、2年間の基礎訓練を経て、2021年10月23日打ち上げ予定のSpaceX・Crew-3要員となり、国際宇宙ステーションで「mission specialist」として活動する予定
●また、NASAが構想する月面探査「Artemis計画」の宇宙飛行士候補11名に選ばれている
2010年当時のBarron少尉が生い立ちを語る
(米海軍士官のRole Modelとして海軍作成映像に登場)
//////////////////////////////////////////////
同少佐は潜水艦から宇宙への転換について、「(最初は戸惑いもあったが、)宇宙船を潜水艦と似ていると考えるようになって、宇宙空間への理解が一気に進んだ。今では潜水艦と宇宙船が同じようだと感じることが無限にある。海水に囲まれた水中でも、真空の宇宙空間でも、潜水艦での経験が非常に役立っている」と語っています
いろんなことで女性初候補になっている自分については、「NASAの廊下には、女性初のスペースシャトル船長や国際宇宙ステーションリーダーの写真や功績が展示されており、私がそれら先輩の肩の上に乗って将来計画に挑んでいることを実感できる。素直に、シンプルに、それら先輩の後に続きたいとの思いが湧いてくる」と語っています
大きなプレッシャーでしょうが、ぜひ頑張って頂きたいと思います
NASAの「Artemis program」計画webサイト
→https://www.nasa.gov/specials/artemis/
Barron海軍少佐の経歴(NASAのwebサイト)
→https://www.nasa.gov/astronauts/biographies/kayla-barron/biography
安保関連の女性活躍
「米情報機関トップの女性が中国脅威を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-15
「国防副長官の女性が政策方針を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
軍での女性を考える記事
「初の女性空母艦長誕生へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-10
「黒人女性が初めて米海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11