米空軍が公開のシェルター候補から
B-2爆撃機の縦横8掛けのイメージか
4日付米空軍協会web記事は、米空軍が公開したB-21シェルター候補の写真をB-2爆撃機用シェルターの大きさと比較し、謎に包まれた開発中のB-21爆撃機の大きさを推定しています。
このシェルターとは、封鎖された空間となる「格納庫」とは異なり、飛行場の駐機場(列線:Flight Line)に設ける屋根付き壁無しの駐機スペースのことで、航空自衛隊の基地にはありませんが、米軍の航空基地には広く配備され、在日米軍基地でも岩国などで見られます
シェルターは、直射日光(紫外線など)や雨や雪が機体表面を損耗させるのを防ぎ、積雪地では機体の雪下ろしの手間を省くほか、弾薬搭載や燃料補給などの機体回り作業を開放的な空間で効率的に行うために活用されます
特にステルス機の場合は、機体表面のステルスコーティングを守る意味から重要で、本格的な整備作業は封鎖された空間が確保できる「格納庫」で行われますが、格納庫への機体の出し入れは手間がかかるため、B-2爆撃機は輸送可能な移動式簡易シェルターを保有しており、インド洋のディエゴガルシアやグアム島展開の際は臨時に設置されるようです
今回のシェルター候補写真からすると、B-21はB-2の縦横8割程度の大きさのようで、現在B-2が使用している機動展開用簡易シェルターがB-21にもそのまま使用されるのではないか・・・と記事は推測しています
4日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍が公開したサウスダコタ州のEllsworth空軍基地に設置されたB-21爆撃機用シェルター候補の写真には、全長6mの車両(Ford F-150 又は Chevy Silverado)と複数の人物が含まれており、そこからこのシェルターの大きさを推定した
●B-2爆撃機も同様のシェルターを使用しておりその大きさは
— シェルター 75m×38m
— B-2の機体 51m×21m(横幅×全長)
●写真から推定するB-21シェルターの大きさは
— シェルター 45m×24m
●B-2の例からB-21の機体規模を推定すると
— B-21の機体 42m×15m(横幅×全長)
●米空軍GSCのB-21担当大佐によれば、B-2と比較し、B-21はより多くの軽易な整備作業をシェルター内で実施可能な設計思想で開発が行われており、今後他のシェルター候補と数年かけて諸データを収集して比較する予定である
●また、B-21配備候補基地はEllsworth空軍基地の他、モンタナ州のWhiteman基地やテキサス州のDyess基地など退役が始まったB-1爆撃機配備基地が予期されるが、Ellsworth空軍基地が最も気象条件が厳しいことからシェルター候補のテスト基地に選ばれたと述べた
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なお米空軍協会は、独自に以前から「45m×17m以下」と推定していたと自慢しています。B-21の大きさが「42m×15m」と推定されたとして、「それがどうした?」と言われそうですが、こんなことが話題になるほど謎に包まれたB-21爆撃機です。
それでも米空軍は、B-21関連情報を小出しにして、開発が順調だと最低限の宣伝には着意しているようで、予算確保への配慮に苦心しているようです。
次期制空機NGADについて米空軍大将が、「中国に先を越される前に実現したい」と危機感を示していましたが、中国やロシアがどこまでB-21について把握しているのかも気になります・・・
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