「海外からの妨害や世論操作行為から選挙を守った」
日系のナカソネ司令官が上院軍事委員会で
25日、米軍サイバーコマンド司令官であるPaul Nakasone 空軍大将が上院軍事委員会で証言し、昨年の米大統領選挙では、NSAやFBIや国土安全保障省や各州軍のサイバー部隊と緊密に連携し、20回以上のサイバー作戦を実施して、選挙妨害や誤情報流布を企てる海外脅威に対応したと語りました。
同じ敷地内に同居するNSA(National Security Agency)長官も兼務する同大将は、就任当初から「選挙の防衛」が国防省サイバー軍の最も重要な任務と語り、海外敵対勢力によるサイバードメインでの世論誘導工作が極めて深刻な脅威となる中、急拡大するサイバーコマンドを率いて任務を指揮してきましたが、証言では特定の国名に言及することなく、また任務の性格上、細部には言及しませんでしたが、その状況や教訓について証言しています
2020年の大統領選挙への妨害工作や世論誘導工作については、トランプ大統領が、ロシア政府機関が関与するサイバー集団による誤情報や世論誘導情報拡散行為を米軍サイバーコマンドが撃退したとのメディア報道を追認し、同コマンドからロシアサイバー活動組織や関連ロシア指導層に警告メッセージを発した等と言及していたところです
また、今年3月にDNI(Director of National Intelligence)がまとめた2020大統領選に関する報告書は、ロシア、イラン、キューバ、ベネズエラ、ヒズボラなどが米国民への誘導工作や誤情報流布を企てていた一方で、中国の関与は米情報機関では認められなかった等との分析結果を公表していました
25日付C4ISRnet記事によれば
●Nakasone司令官は、2020年大統領選をめぐる米軍サイバーコマンドの各種作戦を振り返り、国土安全保障省やFBI等の国家機関との連携から得た各種情報や教訓を基に対処できたと振り返った
●特に、各州軍サイバー部隊と協力して選挙前に立ち上げた「Cyber 9-Line」との情報共有ポータルサイトで、州軍前線部隊から各地域の脅威情報を迅速に入手し、サイバーコマンドから各地に警報を発したり、脅威の特徴を迅速に共有したりしたことが、新たなツールとして多いに機能したと説明した
●その上で、2020年大統領選挙の3つの教訓に同司令官は言及し
— 必要時に迅速に対処できる態勢を確立しておくこと
脅威は突然やってきて急激に活動を活発化するので、対処のチャンスは移ろいやすい。従って、作戦成功のためには、滑らかな作戦活動のプロセスを確立しておき、関係機関の相互信頼のもと、即応状態で対処することが不可欠
— サイバーコマンドとNSAの緊密連携は成功のカギ
司令官とNSA長官の兼務を止め、指揮官を分離すべきとの議論もあるが、同じ敷地内の同じ建物内に位置し、共通の指揮官を置くことで、双方のツールや技能や人材を有機的に機能させることは極めて有効である
サイバーコマンドは、NSAが蓄積した海外の信号分析情報から大いに恩恵を受けたし、サイバーコマンドが電子的脅威に対処する特別チームを立ち上げ、NSAと連携を図ったことが大いに役立った
— 海外や国内パートナーとの協力で、タイムリーに情報共有関係構築
国内産業や同盟国等に脅威情報を提供することで、彼らの活動を活性化させることで、対処能力改善を推進することができた
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対象国に対する世論誘導や誤情報流布は、攻撃源を隠しつつ、安価で継続的で試行錯誤が可能な手法であり、米国のことを心配するより、日本のメディアやSNNの状況を心配したいところです
NHKをはじめとする地上波や、ツイッターも最近ひどいですねぇ・・・。
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