2020年末、4機の機影が西安の飛行場で
中国軍の弱点だった空中給油に国産機量産か
18日付Defense-Newsは、昨年12月30日に撮影された西安飛機工業(集団)公司が所在する西安閻良飛行場の衛星写真を紹介し、2018年に初飛行が報じられたY-20U空中給油機が4機確認できると報じ、3機が量産機ではないかと推測しています
中国空軍にとって空中給油機は弱点・不足・ギャップ分野と呼ばれ、現在は1950年代設計のソ連製Tu-16の中国版H-6爆撃機を改良した給油量の少ないH-6U空中給油機20機余りと、ウクライナから2014年に輸入した3機のIl-78MP給油機(Il-76旅客機改良)を保有していますが、空中給油が確認されることはあまりありません
中国空軍は2016年に就航したY-20輸送機を空中給油機に改良して問題解決を狙い、2018年にY-20U空中給油機の試験機初飛行が伝えられていました。今回撮影された4機のY-20Uの内、1機はこの開発試験機だとDefense-Newsは報じています
Y-20輸送機もY-20U空中給油機も、共に4基のロシア製D-30KP-2ターボファンエンジンを搭載しており、中国国産WS-20ターボファンエンジンへの切り替えを狙って開発が続いているようですが、WS-20の投入は早くても2024年以降だと言われています
推測が多い記事ですが、中国軍の着実な能力アップの一環ですので、ご紹介しておきます
YouTube上のY-20とY-20U紹介映像
18日付Defense-News記事によれば
●2020年末に撮影され、Planet Labs社からDefense-Newsに提供された衛星写真は、両方の翼端下に空中給油用のポッドを装着した様子が「影」として確認できるY-20U空中給油機4機の存在をとらえている
●撮影された西安閻良(Xi’an-Yanliang)飛行場には、西安飛機工業(集団)公司(XAC:Xi’an Aircraft Company)の工場があり、4機の周辺には計16機のY-20輸送機が確認できる
●ちなみに西安閻良(Xi’an-Yanliang)飛行場は試験飛行の拠点となっており、中国製航空機の飛行試験を行う組織が所在している
●Y-20U空中給油機はhose and drogue方式の空中給油機で、撮影された4機の内、3機はグレーに塗装され、グレーの1機は試験開発用の1機と推測されている。
●中国軍にとって空中給油能力は弱点の一つと言われており、今後のY-20Uの製造状況や空中給油訓練の様子が注目されている
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最近、中国空軍の大型爆撃機H-6の最新型が、極超音速兵器の搭載試験らしき飛行を行っている様子が確認されたり、グアム島の米空軍アンダーセン基地を攻撃する模擬映像が中国空軍により公開されたりと、中国の大型爆撃機が注目を集めています
そんな中国航空アセットの能力を、行動半径延伸や飛行時間増強で支えるのが空中給油機で、太平洋の島々や海面に分散して被害を免れようとする米海空軍戦力への大きな脅威です。
じわじわとボディーブローのように効果を発揮し、西側の作戦計画の選択肢を狭める役割を果たす、中国空軍Y-20U空中給油機の今後に注目いたしましょう
中国空軍公開のアンダーセン米空軍基地攻撃デモ映像
「H-6Kのグアム島ミサイル攻撃模擬映像」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23
中国の最新型大型爆撃機が極超音速兵器搭載試験か?
「中国空軍H-6Nが極超音速兵器試験?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20
軍事ブロガーJSFさんの極超音速兵器「DF-17」解説
→https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20191008-00145888/