応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
//////////////////////////////////////////////////////////
米空軍がロッキードとプロトタイプ試験契約
2021年にも射程1000㎞のJASSM-ER投下試験
10月30日付Military.comが、米空軍がロッキード社と契約したC-17等輸送機から長射程ミサイルを投下して攻撃に使用するプロトタイプ試験について、2021年にも射程1000㎞の長射程空対地ミサイルJASSM-ERを使用して行うとのロッキード発表を紹介しています
有事に輸送所用が激増する輸送機を有効に活用できるよう、軽易にミサイル等の兵器を投下可能なように機内仕様を変更可能で、攻撃任務に不案内な輸送機搭乗員への負担をなくすため極力データリンク情報を自動的に搭載兵器に伝え、輸送機の貨物庫から降下後も極力兵器が自律的に攻撃目標に向かうような設計が要求されており、本格検証に進むようです。
輸送機から兵器投下母機として使用する検討に対しては、米空軍の応援団体であるはずの米空軍協会ミッチェル研究所が「反対」するレポートを出し、大まかに、輸送機の輸送任務を阻害する、長射程兵器偏重は予算的自殺だ、防御能力のない輸送機に搭載する兵器は長射程で大型になり数量を準備できず高価になり運搬も大変、最も費用対効果の高いB-21爆撃機調達を阻害する等の理由を挙げています
そんな中でも米空軍輸送コマンド司令官Jacqueline Van Ovost大将(女性)は、淡々とオプションとして検討を進める様子のようです。本当に同司令官が必要だと感じているかは別ですが、この任務に関与することで、輸送機も全ドメイン指揮統制(JADC2)やABMS関連試験に大きく関与できるからかもしれません。個人的には「?」な印象のプロジェクトですが、
10月30日付Military.com記事によれば
●ロッキード社は「Palletized Munitions Experimentation Campaign」とのプロジェクトを受注し、射程600nm(約1000㎞)の空対地長射程ミサイルJASSM-ER(Joint Air-to-Surface Standoff Missile Extended Range)の米空軍輸送機からの投下デモ試験を2021年に実施すると発表した
●「本プロジェクトは新しいものだが、大変素早くに進んでおり、迅速にプロタイプを作成して前線兵士に新兵器を提供できるように進めている」と同社担当者は述べている
●2021年のデモ試験では、C-17やC-130輸送機に大きな改修や機内仕様変更なしにパレット化された兵器を搭載可能にし、搭載時にも兵器投下時にも輸送機クルーに負担をかけることなく、攻撃作戦機の補完ができることを示すことを狙っている
●輸送機からの兵器投下はある程度の自動化を追求しており、米空軍の説明によれば、輸送機クルーはネットワークから得られた指示・情報に基づき「いつ・どこで」兵器を投下するかを決定するが、兵器そのものも状況に応じて搭載アルゴリズムで攻撃可能な目標を分析し、自律的に行動することが可能な仕様を目指している
●9月に空軍輸送コマンドのOvost司令官は、ABMS(Advanced Battle Management System)確認の一環として、模擬のJDAMをC-17から投下試験し、多くの兵器を信頼度高く投下できるかの確認を行ったと述べ、「今後、実物のミサイルを投下して空中でブースターに点火させ、兵器としての試験を行う予定」だと状況を語っていたところ
●米空軍では、特殊作戦コマンドも年初にMC-130からパレタイズ化した兵器と投下するCLEAVER(Command’s Cargo Launch Expendable Air Vehicles with Extended Range)試験に取り組んでいる
●同司令官は、大型爆撃機にとって代わるものではないと前置きしつつ、爆撃機から投下された爆弾のように活用できるようコンセプトを成熟させてたいと語っている
●ロッキード社責任者は、米空軍と共に、一度にパレタイズする爆弾やミサイル数をいくつにするかを、投下時の空気抵抗や機体搬入時の容易性等を要因を勘案しつつ、輸送機の飛行距離に応じてどのようの調整していくかを検討していると語っている
//////////////////////////////////////////////////////
対中国のような本格紛争を考えると、4-6万個の攻撃目標数への対処が求められるため、高価な長射程兵器だけでは予算的に対応不可能で、また大型の長射程兵器ではその運搬への負担も大きな負担になります。
そんな理由から、米空軍は陸軍や海兵隊が長射程兵器偏重に傾くことへの危機感を訴え、一方で突破型のステルス爆撃機やF-35や無人機からの安価で小型の「スタンドイン兵器」投射の重要性を主張しているところです
まぁ、地上部隊の長射程兵器重視の方向は変えようがないような中で、米空軍が輸送機の活用をどのように位置づけているのかを、Brown参謀総長あたりから聞きたいものです
輸送機からの兵器投下検討
「ミッチェル研究所は輸送機からの兵器投下に反対」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-01