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8月31日、8月初旬に就任したばかりの米空軍参謀総長であるCharles Brown大将が、今後の米空軍の業務・任務コンセプトについて8ページの冊子「Accelerate Change or Lose」を発表し、勤務に当たっての基本姿勢を、装備品調達から人材育成まで幅広く示しました
8ページの冊子に具体的な数字や時程が含まれるわけではありませんが、タイトルが示すように「どんどん変化しなければ敗北する」との危機感に満ちており、今後数か月の間に様々な分野に関する具体的なアクションを示して行くとの「予言」とともに記述されていることから、今後の変化を予感させるものとなっています
冊子の内容は、太平洋空軍司令官時代から同大将が述べてきたことや、米空軍幹部が最近語っている内容に沿うものですが、概要の概要をつまみ食いでご紹介しておきます
8月31日付米空軍協会web記事によれば
冊子「Accelerate Change or Lose」の概要の概要は
●変化を直ちに始めなければ、我々の優位性や将来の戦いでの勝利は得られない。変化の範囲は、どのように兵器システムを評価し、どのように調達するか、また兵士をどのように訓練して展開させるかなど、多方面に及ぶ
●ドォーエの言葉を借りれば「敵に先んじて変化を遂げた者に勝利は訪れ、変化を待って変化に対応しようと受け身であった者には訪れない」・・・である
●この変化に関連するアクションプラン指示は数週間後に始まり、数か月の間続く。将来を変えるこの取り組みには、時間の必要なものもあり、国防省や議会や産業界との協力が欠かせないものも含まれる
●我々は迅速に行動しなければならない。少なくとも敵対者より早く。脅威が変化したなら、すすんで変化し、敵に数歩先んじなければならない
●数十年に渡り米軍が享受してきた航空優勢は、もはや保証されていない。中国などの対象国が米国の優位を脅かすため継続的に積極的に取り組んでおり、優位喪失は視野に入っている。優位を生かして次への備えに時間的余裕があった時代でもない
●将来の戦いでは、局地的な航空優勢を争う事になろうが、米空軍が米軍内でこの争いの先頭に立つことには変わりはない
●将来の戦いでの空軍兵士は、厳しい環境下の戦いと戦闘による大きな消耗損失、そしてWW2のように国家へのリスクを背負うことになる可能性が高い
●仮に米空軍がこのようなリスクの存在を無視し、最近の我々が慣れている(テロとの戦い)戦いの意識のままでいたなら、恥ずべきである。
●変化に対応するため、伝統的な装備を捨て去ることにも取り組む必要がある。一般に米議会の反対を受けがちだが、先行的に利害関係者と意思疎通を図り、必要なことは敢然と推進する必要がある。
●我々は戦力構成に関する最も困難な意思決定を迫られる世代であろうが、決して消極的であってはならない。将来の調達では、任務全体を見据えなければならず、単一アセットのみの視点ではいけない。金額面での折り合いや相対的な能力不足が明らかになった物は、中止する態度でなければならない。過去の分析が調達時に正しくても、ニーズが変化すれば優先順位を見直す必要がある
●人的戦力の面でも変化が求められている。兵士の派遣要領(休養や回復、将来に備えた訓練の全て)にも変化が求められているし、兵士皆が理解しやすく、考え方が共有されている状態にあるべきである。無論、統合戦力として機能しうる戦力であることは必須である
●空軍兵士を「Empowering」することが根本的に重要で、中国やロシアとの厳しい戦いの中でも、部隊内の信頼が維持できるよう部隊を準備する必要があり、このためには、各兵士が持ち場を通じていかに組織全体に貢献しているかへの理解も重要になってくる
●人的戦力強化のためには、多様性の価値を最大に活用し、家族も含めた生活の質確保も重要な視点となる
●ウォーゲームやシミュレーションを通じて、米空軍が将来への適応を誤れば、任務を完遂できないことが明らかになっている。我々は国家の負託にこたえるため、迅速な行動が求められている。「極めて厳しい環境下での戦い:highly competitive environment」に向け、変化のため立ち上がる必要がある
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In the “months ahead,” beginning with action orders expected in the coming weeks, Brown said
関連するアクションプラン指示は数週間後に始まり、数か月の間続く・・・何が始まるのでしょうか?
米国防省レベルで、世界的な米軍再編案が9月末までにまとめられ、12月末までに「新しい統合作戦コンセプト」が作成される中での冊子「Accelerate Change or Lose」発表です
新しい統合作戦コンセプトは、現役のリーターたちにとっても「全くこれまでと異なる」そうですから、米空軍もその変化に先行するつもりで果敢に挑むのでしょう。
「米国防省「新たな統合作戦コンセプト」を年末までに」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-18
太平洋空軍司令官時にBrown大将が語る
「米空軍は海兵隊と同じ方向を目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「射程1000㎞の砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25