ヘリ操縦者養成から初等固定翼練習機を外す試行へ

疲れたので、8月16日までは不定期更新になります
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ヘリ操縦者養成からT-6をなくし、固定翼操縦者養成に充当
パイロット養成改革「Pilot Training Next」の一環というが

HH-60G 2.jpeg4日付米空軍協会web記事は、米空軍の新人操縦者養成を担う第19空軍司令官Craig D. Wills少将へのインタビューを紹介し、米空軍が今週から、ヘリコプター操縦者養成の最初の段階で経験させてきた固定翼練習機の訓練削除を試行すると語り、ヘリ操縦者の養成期間を短縮してパイロット不足緩和につなげたいと語りました

今週にも始まるのは8名の操縦訓練生による「試行クラス」で、その結果を見て本当にヘリ操縦者養成コースのカリキュラム変更が可能かを見極めるようです

米空軍はパイロットの民間航空会社への流出等によるパイロット1割以上不足に悩まされており、ヘリ操縦者以外の戦闘機操縦者なども含めたパイロット養成の効率化や期間の短縮に取り組んでおり、「Pilot Training Next」とのプロジェクト名でバーチャルリアリティーの積極活用、AI活用などの効率的地上教育導入、各操縦学生の能力や特性に応じた訓練期間短縮など、様々な取り組みを行っています

T-6 USAF.jpegまた、ボーナスアップからキャリア管理見直し、勤務場所周辺の子供の教育環境改善、女性獲得のための「身長制限」の緩和や上下別の飛行服開発など、涙ぐましい細かな対策がここ数年試行錯誤で行われています

その一環の「固定翼:T-6練習機」訓練削除案ですが、Wills少将の発言の端々に、ヘリ操縦訓練生に使用されなくなった分のT-6を固定翼操縦者養成に活用してパイロット養成数を増やしたいとの願望がにじみ出ており米空軍のヘリ操縦者(HH-60G Pave Hawks、UH-1N Huey、CV-22オスプレイ)が乱暴に扱われているような気がしてなりません
何と言っても、固定翼T-6操縦訓練がなくなった期間、民間のヘリ操縦教育機関に送って空軍ヘリ操縦者の第一歩を歩ませるという「試行」案には、現役のヘリ操縦者から文句の一つも出そうな気がします

4日付米空軍協会web記事によれば
CV-22 2.jpeg7月30日にWills少将は、8名の小集団による試行が今週(3日の週)米陸軍Fort Ruckerで開始され、現在契約手続き中の民間機関によるヘリ操縦教育が9月に開始される予定であると語った
過去約20年間のヘリ操縦者養成教育は、まず固定翼T-6操縦訓練を受けて「飛ぶ」ことや航空法関連など空の基本的ルールを体で覚え、その後機種が決定され、ヘリに進む場合は米陸軍Fort Ruckerで基礎教育を受け、卒業後に各機種(HH-60G Pave Hawks、UH-1N Huey、CV-22オスプレイ)に分かれる流れであった

それ以前はやはり固定翼機の経験なく直接ヘリ教育を受けていたことから、今回の固定翼削除「試行」を「back-to-the-future plan」と呼ぶ者もいる
Wills少将は今回の試行の目的を「ヘリコプター経験だけでは世界標準の優秀なヘリ操縦者を育成できないのか?」との疑問に答えることだと述べ、同少将は「ヘリ教育だけで優秀な操縦者を育成できる」と考え、試行を実施するのだと語った

Heli Pilot Training2.jpeg具体的に同少将は試行について、民間ヘリ養成機関で50時間のヘリ訓練をまず行い、残りのヘリ訓練を米陸軍Fort Ruckerで行う計画だと述べ、民間機関での訓練開始は9月中旬になるだろうと語った
これにより、従来17-18ヵ月の訓練期間から、9-11ヵ月に養成期間を短縮できる可能性があると同少将は述べ、T-6の空き時間は固定翼操縦者養成数の増加に活用したいとも付け加えた

操縦者不足対処の「Pilot Training Next」計画の一環として、昨年米空軍は「Project DaVinci」実験を行い、操縦者訓練生の小集団にシミュレーションやバーチャル訓練を増加したカリキュラムを与え、6名の訓練生全員が6週間も通常より早く課程を修了した

Heli Pilot Training3.jpegこのコンセプトを活用し、ヘリ教育を28週間から14週間に短縮し、年間養成数を倍の120名にする目標を掲げている。米空軍教育訓練コマンド幹部たちは今回の試行に自信を持っているが、「この小集団試行テストでよく確認したい」、「世界レベルのヘリ操縦者が育成できることを証明したい」と述べつつ、「まだ完成したものではない」と慎重な姿勢も見せている
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最初の「空」を民間のヘリ操縦教育機関で迎えるヘリ操縦者を、米空軍は育てるのでしょうか? 戦闘機操縦者をそのように扱うことは決してないでしょうに・・・。なんかですねぇ・・

Heli Pilot Training4.jpeg民間のヘリ操縦教育学校も、米空軍OBが多数を在籍する組織であるような気がしますが・・・、バーチャル訓練もAI活用の知識学習もどんどん取り入れればよいと思いますが・・・、何かちょっと違うような・・・との年寄りの独り言でした

それよりも大きなうねりとして、これだけミサイルや無人機が発達する中、誰しも大空への憧れは持つものの、空軍パイロットになりたいとの夢を持つ者の数が減少する流れには逆らえない気がします

米空軍パイロット不足関連
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10

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