新START条約存廃に関する米露交渉始まる!?

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2021年2月に破棄期限が迫る核兵器管理最後の砦
トランプ大統領は中国を含む3カ国条約へ拡大希望も

New START4.jpg17日、延長合意がなければ2021年2月に破棄になる新STAR条約について、ポンペイオ国務長官とSergey Lavrov ロシア外相との協議が同日行われたと米国務省が明らかにし、ラブロフ露外相は開発中の最新核兵器や超超音速兵器も交渉に含める用意があると語った模様です

新START条約は米露間で2011年2月5日に発効したもので、双方の戦略核弾頭上限を1550発とし、その運搬手段である戦略ミサイルや爆撃機配備数上限を700に制限する条約です。有効期限は10年間で、最大5年の延長を可能とし、条約の履行検証は米露両国政府による相互査察により行うこととなっています

核兵器管理の条約には新STARTとINF全廃条約がありましたが、1987年12月8日に米露が署名し、相互に射程500kmから5500kmの地上発射弾道ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するINF全廃条約は、ロシアが条約を履行していないとして、トランプ政権が2019年8月2日に破棄通告しています

New START.jpgINF全廃条約破棄を受け、新START条約が核兵器管理の唯一の枠組みとなったことから、多くの専門家が同条約の延長すべきと主張していますが、トランプ大統領は本条約を「オバマ時代の悪いディールだ」と呼び、新START条約の延長はせず、中国も含めた米中露の3カ国で核兵器管理の合意を追及すべきだと発言しています

これらを踏まえエスパー国防長官もINF条約破棄通告の際、米国は他の核保有国も協議の枠組みに加え、更に条約の対象兵器も拡大すべきだと語っています。そして新STARTから新たな枠組みへの議論に展開しても、軍拡競争にはならないし、米国は欧州と太平洋地域を守るミサイル能力の展開が必要だと述べていました

ちなみにエスパー長官がミサイル防衛に言及したのは、核兵器管理とミサイル防衛議論の切り離しを狙ったもので、新START条約を両国の議会が批准した際、米議会は米ミサイル防衛システム(MD)の開発配備が同条約に規制されないとした一方で、ロシア議会は、MD配備によりロシアの核が不利になり戦力バランスが不均衡になる場合は条約から脱退できるとの付帯条項を含めた経緯を踏まえたものです

経緯の説明が長くなりましたが、4月17日の両国外交トップによる協議の始まり模様の「断片」をご紹介しておきます

17日付Defense-News記事によれば
New START3.jpg17日、ポンペイオ国務長官とラブロフ外相が軍備管理を含む協議を行い、ロシア側は米国が新START条約延長に合意するとの前提で、ロシアが開発中又は保有する最新核兵器や超超音速兵器も同条約の枠組みに含める可能性があることを示唆した模様
米国務省は協議後、米露の戦略安保対話の次のステップをどうするか協議したと表現し、ポンペイオ長官は、将来の軍備管理はトランプ大統領のビジョンである中国を含む3カ国合意でなければならないとの考え方を強調した、と協議内容を説明した

ロシアのプーチン大統領は新START条約の延長を提案しているが、トランプ政権の露中米3カ国取り決め追求については、米露と比較して少ない核兵器しか保有しない中国が、保有核兵器削減を求める可能性のある議論を拒んでいる現実を踏まえ、「非現実的だ」と評価している
ロシアのSergei Ryabkov副外相は17日、ロシアの最新型大陸間弾道弾「Sarmat(開発中)」や、(2019年12月に部隊配備したとロシアが発表した)Avangard超超音速兵器も、延長する新START条約の枠組みに含めて議論することも可能だ語った
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New START2.jpgロシアが発射試験を行い開発中の「Sarmat」(Satan2:RS-28)は、弾頭10-16個搭載し、音速の20倍で飛翔してミサイル防衛網を突破可能といわれる射程11000kmの新型ICVBMで、北極圏経由のみならず、南極経由で米国を攻撃可能とロシアが明らかにして米国を仰天させた新兵器です。ロシア系研究機関が「10発で米国の全国民を殺害する威力がある」との試算を発表しています

一方のAvangard超超音速兵器は、通常弾頭と核弾頭の両方を搭載可能で、大気中を音速の20倍以上で飛翔して敵の探知や迎撃兵器を無効化する兵器で、2019年12月に配備を開始するとプーチン大統領が昨年11月に発表した兵器です

トランプ大統領の3カ国条約構想に勝算があるとは思えませんし、米国の財政も厳しく核兵器の近代化計画が頓挫しそうな状況ですから、とりあえず5年間延長で凌ぐのが上策だと思うのですが・・

新START関連の記事
「Esper新長官アジアへ中距離弾導入と新STARTの運命」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-04
ロシアの核兵器開発とINF条約関連経緯
「第3の超超音速兵器Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
米国核兵器を巡る動向
「ICBMから怒りの撤退」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-27
「次期ICBMのRFP発出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-18
「今後10年の核関連予算見積が23%増」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26
「核兵器輸送がNo2任務」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-11
「ついにINF条約破棄へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「サイバー時代の核管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「リーク版:核態勢見直しNPR」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13
「議会見積:今後30年で140兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02-1

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