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2009年に戦略空軍からGSC(Global Strike Command)に改編
核兵器(ICBMとミサイル・爆弾)更新の膨大な任務に備えつつ
更に宇宙、サイバー、電子戦の時代に備えて
10周年を迎えたGSCのTimothy Ray司令官(大将)が米空軍協会機関誌のインタビューを受け、10月18日に非公開で決定した「GSC新戦略計画」や同計画を基に検討中の「作戦運用コンセプト」の背景や方向性について語っています
ソ連との冷戦を戦略原潜と共に核抑止で支えた戦略空軍時代からの流れを引きづって来たGSCですが、ここにきて2018NDSが指摘したように、宇宙やサイバーや電子戦ドメインも戦略的な意味を持ち始め、超超音速兵器の出現などと併せ、脅威の変化への対応を迫られています
加えて、延々と先送りにしてきた核兵器の近代化更新にもやっと着手し始めたものの、膨大な「試験や認証業務」が控えているようで、3.2万人規模のGSCは、予算厳しき中で、一層の業務効率化も求められています
更に「長年にわたり放置され顧みられることがなかった」ICBM部隊では、士官クラスも含めたカンニングや勤務中の飲酒問題、更に自殺の多発など、部隊を支える人の面にまで立ち返った対応が求められるなど、厳しい現実に直面しています
具体的な内容を含むインタビューではありませんが、日本も「傘の下」で生きている身ですので、ご紹介しておきます
11月27日付米空軍協会web記事によれば
●2009年に戦略空軍からGSCに改変された部隊であるが、最後に核兵器が使用されてから70年、冷戦終了後から30年が経過し、核兵器だけでなく宇宙やサイバーや電子戦や超高速兵器などに脅威が拡大する中、GSCは新たな時代の抑止を担うための変革を迫られている
●同コマンドは10月18日、同コマンドの歴史上最大の方向転換と表現される非公開の「新戦略計画」を定め、今後数十年の方向性を内部に明らかにした
●「新戦略計画」の中には9つの主要目標が示されているが、GSC戦略の運用をつかさどる統合の米戦略コマンドに対し、2018NDSに沿った戦力を如何に提供するかを考慮したものとなっている
●そして同司令官はこの新戦略計画を受け、「今後6-9か月間で作戦運用コンセプトを作成する」と語り、その検討に資するため、秋に米戦略コマンドや英豪加と共に実施した「Global Thunder」演習では、冷戦後取り組んだことがなかったような想定を置いて訓練し、教訓を得た
●「超超音速ミサイルや弾道ミサイル、潜水艦、宇宙やサイバーなど、我の行動を妨げるあらゆる状況を設定し、かつてないより現実的な場の設定で演習を行った」、「より正しい状況下で」で行い、今後数十年で新たに導入するB-21、GBSD(ICBM迎撃ミサイル)、LRSO、改良B-21核爆弾、MH-139へり、指揮統制技術をシームレスで使用できるよう戦略コマンドとの連携の資となったと同司令官は語った。
●また同司令官は、米空軍が希望ベースで作成した「Air Force We Need」計画のような爆撃機部隊規模が実現できるとは考えていないと述べ、新型のB-21と年齢100歳のB-52が共存する部隊の運用も、それぞれを貴重な戦力として共存するよう考える必要があるとも述べた
●最近RAND研究所が発表したレポートでは、厳しい財政状況下で部隊の近代化を進めるには、戦闘コマンドACCの経験も参考に、新旧ICBMや爆撃機の移行マスター計画を策定すべきと指摘し、また「今後予期される核兵器の試験と認証規模は、過去数十年経験のない膨大な業務を必要とするが、この業務はスタッフ数と経験の少ないGSCに割り振られる」と危惧している
●これらの指摘に対しGSC司令官は、「アセット毎に担当を固定するのではなく、 cross-functionalなチームを編成して多様な課題に対処させる」等の対処案に言及し、GSC内だけでなく、国防省や他政府機関も交えた最近の成果として、爆撃機運用基盤整備コストをB-52とB-21で半額以下に抑えることに成功したと説明した
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飛行部隊である爆撃機部隊と、全く性格の異なるICBM部隊を一つのコマンドの下で管理するのは、さぞかし大変な任務だと思います
サイバーや宇宙ドメインが加わって、「抑止」の概念がどう変化するのか勉強していないのですが、変わらないのは「自らの国民を犠牲にすることが出来る国」を抑止することは難しい・・・ということでしょう
核兵器は70年間使用されていませんが、明日のことはわかりません
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