2018年1月から勤務のRandall Schriver氏
政策担当次官の下にまた新たな空席ポストが
12日、米国防省報道官が、アジア太平洋担当国防次官補であるRandall Schriver氏の辞任を発表し、「return to private life」と説明しました。
Schriver氏は2018年1月から約2年間同ポストを努め、アジア太平洋地域の関係国からの評判も悪くなかったと言われており残念ではありますが、2年間というのは政治任用ポストのローテーションで良くある期間ですので、自然な流れと考えておきましょう(裏があるのかもしれませんが、把握しておりません)
本日はRandall Schriver氏が在任中に取り組み、今年6月に慎重に行われた、インドアジア太平洋担当国防次官補の下で働く「次官補代理:DASD:Deputy assistant secretaries of defense」の担当区分変更、中国専任DASD設置についてご紹介いたします
具体的な影響や防衛省の担当の方の感想などご紹介できればベストなのでしょうが、そこまでの情報はありません。「伝統的な共和党の道を進む人」として知られ、お世話になったRandall Schriver氏の送別記事として、ご覧ください
12日付Defense-News記事によれば
●12日、国防省のJonathan Hoffman報道官は、2018年1月からアジア太平洋担当国防次官補を努めてきたRandall Schriver氏が同ポストを去り、「private life」に戻ったと発表した
●Schriver氏は担当地域の関係国から広く好意的に見られていた人物で、軍事・安全保障問題に関して「traditional Republican voice」な人物であるとの評価を受けていた
●Schriver氏は2001年から03年まで、国務副長官だったRichard Armitage氏の政策アドバイザーやスタッフリーダーとして仕え、2003年から05年の間は、東アジア太平洋担当の国務次官補代理として勤務し、特に極東の関係国には良く知られた人物であった
●また、シンクタンク「Project 2049 Institute」のCEOとして、「2049年までにより安全なアジアを構築する」ことを目的として活動してきた
Randall Schriver氏のアジア太平洋次官補室の改革
●改革前の3名の「次官補代理:DASD」の分担区分
—Afghanistan, Pakistan and Central Asia
—Southeast Asia with India, ASEAN, Australia and New Zealand
—Japan, South Korea, Mongolia, China and Taiwan
●改革後:中国専任を設け、日本と豪州の垣根無くす
—SoutheastとEast Asiaの垣根を廃し、日本と豪州など重要国を一体で把握
—中国専任のDASDを設置 海兵隊出身のChad Sbragiaが就任
(国防省内の21名のDASDの中で、単一の国を担当するDASDは中国専任DASDのみ)
●中国専任DASD設置について、Randall Schriverは10月に、「中国専任DASDは、米中関係全体の安定化推進担当(stabilizing force)として機能し、併せて国防省内の対中国政策を束ねる役割を担う」と説明している
●10月1日付のDefense-News記事は、この改革について様々な意見を紹介しているが、地域最大の課題である中国に関する専任部署を設けることは正しい方向だと見る識者や元国防省勤務者の意見がある一方、重要な同盟国がそろっている同地域の他国との関係が維持できるのか心配する声もあった
●また、一般にどんな組織改革でもそうであるように、組織図上で美しい姿を描いても、実際に業務を行う人の配置や連携が大きく左右するといった意見や、中国に関する縦割りが進むのではないかとの懸念も聞かれた
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アジア太平洋担当国防次官補の下に、引き続き3名の「次官補代理DASD」が存在して「アジア太平洋地域」を分担しているのか、増員されているのか?、日本と韓国と豪州が一緒のDASDの下にいるのか不明ですが、とりあえずご紹介しました
アジア担当次官補が仕えている国防省の政策担当次官(John Rood)配下にあるポストでは、筆頭番頭格のDavid Trachtenberg政策担当次官補が7月に辞任してから空席が続き、10月に辞めたRobert Karem国際安全保障担当次官補と併せて大きな穴となっているようです
そして、国防省全体では、21個のDASDポストのうち、6ポストが空席になっているということです。
この空席が多いのか少ないのか語る知識がありませんが、トランプ大統領の下では、マティス国防長官もWillson空軍長官も、2年で早々に公務から離れていますので、長居したいと考える人は少ないのでしょう・・・