国防省が初めて家族の自殺状況をレポート

結論:一般社会の年齢層毎の比率と同等か低い

Suicide Prevention.jpg9月26日、国防省が2018年の自殺報告書(Annual Suicide Report)を発表し今年発表の同報告書から初めて、兵士や職員の家族の2017年の自殺(self-inflicted deaths of those related to service members)についても統計分析されました

兵士や職員が2018年の統計で、その家族が2017年なのは、死因が本当に自殺なのか、自殺の方法が何なのかについて個々のケースできちんと確認するには時間が必要で、家族の場合には把握により時間が必要との理由になっています

Orvis.jpg国防省自殺防止室のKaren Orvis室長は、「兵士についてもその家族についても、提供可能な最新のデータを報告書に掲載することとした」、「兵士や職員と、その家族の自殺は、その背景や原因が同じでなく家族の方がより多様である」と述べ、

国防省人的戦力強靭化室のElizabeth Van Winkle室長は、「継続してデータを収集することで、家族についても分析が可能になろう」との述べ、今後も家族関連データを収集公表することを示唆しています

このように単年のデータであるため何とも言えませんが、何らご参考までご紹介します

26日付米空軍協会web記事によれば
2017年の家族の自殺者数は189名であった。その内、兵士や職員の配偶者の自殺が123名で、その12%が兵士又は職員であった。配偶者では男性の自殺率が女性の3倍で、10万人比率で男性が30名、女性が9名であった。

配偶者以外は63名で、最も若いのは12歳。養子や連れ子を含めて、23歳までは扶養家族として統計に含めている

Winkle.jpg自殺方法別では銃など火器を使用した自殺が、配偶者で53%、それ以外では51%。首吊りが配偶者で20%、その他で40%。残りは薬物、アルコール、毒物、飛び降り等である
●兵士や職員家族の自殺率は一般社会の同等の年齢層の比率と比べると、同等または一般社会より低くなっている

一方で兵士については2016年から17年、18年と自殺者数は増加を続けており、2016年の482名から511名、更に541名と急増している

現役正規兵の自殺者数についても、2018年は325名で、過去5年間の平均から34%も増加している。なお、州軍と予備役兵の自殺者数は、2016年以降はほぼ横ばいか若干の増加にとどまっている

Orvis2.jpg米空軍に関しては2018年の自殺者数が80名であったが、2019年はそれをはるかに上回るペースで自殺が発生しており、9月21日ですでに昨年の80名に達している
●これを受け米空軍参謀総長は、米空軍を挙げての自殺防止に乗り出している
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自殺者の比率を把握する兵士10万人当たりの自殺者数値は、2017年で21.9名で、2016年の21.5名と、一般社会の同年齢層の17.4名よりは高くなっています。ちなみに米軍関連で最も自殺率が高いのは州兵で、29.1名です。

Suicide Prevention2.jpgこれと比較すると配偶者の自殺率「10万人比率で男性が30名、女性が9名」は高いような気がしますが・・・

日本の全年齢層合計の2018年10万人当たりの自殺者数は、男性23.2人、女性10.1人でした。統計の存在する1900年以降で最悪は2003年で、自殺者総数34400人、10万人当たりで男性40.0人、女性14.5人です

米軍と自殺者問題
「2018年米軍の自殺者数が過去20年で最悪に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-03
「2018年は自殺者数最悪ペース」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09-1
「米空軍死者の一番は自殺」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12-1
「米海軍の自殺を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20
「国防省の自殺防止会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25
「陸軍も6年連続自殺増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-14

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