キプロスから発進しシリアで警戒飛行
今秋には空母クイーンエリザベスで試験へ
6月25日付英国防省発表によれば、英海軍と英空軍が共有するF-35B型が、6月16日に地中海キプロス島の地上基地を2機で発進し、タイフーン戦闘機と共にシリア上空で対IS作戦の一部である警戒飛行を行い、英軍F-35として初の実戦任務を遂行しました
6月16日から発表があった25日までの間に、既に12ソーティーの任務飛行をこなしたと併せて発表されており、攻撃任務や空中戦を遂行したとの発表はありませんが、タイフーン戦闘機と並ぶ戦力として地上発進態勢は確立されたということでしょう
これまでのF-35初任務遂行を整理すると・・・
イスラエル空軍 2018年5月
米海兵隊 2018年9月
米空軍 2019年4月
英空軍 2019年6月
今後の英海軍の焦点は、垂直離着陸可能なF-35Bの特徴を生かし、英海軍の新空母エリザベスでの運用態勢を確立することです
そのための大事な秋の訓練を、米東海岸沖で行わなければならない悲しい背景は先日ご紹介しましたが・・・、今日はお祝いですので、英軍の発表をご紹介しておきます
Tony Radakin英海軍参謀総長は25日の発表の中で
●我が軍が17機保有するF-35Bが、導入後の早い段階で、その優れた能力を発揮して証明してくれたこと素晴らしいと思う
●秋には空母エリザベスが米東海岸に戻り、F-35Bを搭載しての「作戦能力試験:Operational Trials」に臨み、第5世代機の能力を更に海から発揮できるレベルに引き上げる
●今後数十年間に渡り、空母エリザベスとF-35Bのペアは、世界中に展開可能な攻撃能力と通常抑止力の担い手として、英国派遣部隊の中核をなすことになる
//////////////////////////////////////
英国政府は各タイプを合計して138機のF-35を購入する計画を持っていますが、誰もその数を購入できるとは考えていない現実があります
米東海岸まで移動して空母の最終能力チェック「作戦能力試験」を行うのも、保有するF-35が空母の最大搭載能力35機に足りず、米軍の支援を受ける必要があるからです。
F-35Bを空軍と海軍で共有するとの素晴らしいアイディアの英軍ですが、「EUからの合意なき離脱」が現実味を帯びる中、明るい経済見通しはなく、苦しい台所事情です
空母エリザベスの悲しき現実
「米海兵隊F-35が英空母へ展開へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-09
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
英国軍を考える記事
「EU離脱で英国防計画ピンチに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-01
「英軍新空母を南シナ海に!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06
「新空母の艦載機が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
「予算減で英軍の士気崩壊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-18
「英軍が戦闘機半減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「大なた:英軍の大軍縮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19-1