米空軍の超超音速兵器ARRW開発本格開始

米陸海軍と協力して迅速な開発中
2022年のIOC目指してロッキードが
Hypersonic3.jpg12日、中国やロシアに先を越されて米国防省が慌てている超超音速兵器(Hypersonic Weapon)の開発本格化の「のろし」として米空軍が空中発射型の同兵器のプロトタイプをB-52爆撃機の外部に搭載し、空気抵抗など空力特性を測定する試験を行いました
米空軍がロッキード社等と2018年8月に開発契約を結び、2022年に初期運用態勢IOC確立を目指して取り組んでいるもので、正式名称は「AGM-183A Air Launched Rapid Response Weapon:ARRW」とよばれています
Hypersonic.jpgこの超超音速兵器(Hypersonic Weapon)開発は国防省と3軍が協力して進めており、6月4日の担当陸軍中将の会見によれば、米陸軍と海軍が地上(艦上)発射型配備を目指してチームとして開発をスタートさせているが、陸軍は空軍の空中発射型にも使用される「飛翔体本体:Common Hypersonic Glide Body」を担当し、海軍はブースターを受け持っているとのこと。
地上型の企業選定は今年夏に発表される予定で、「Long-Range Hypersonic Weapons」として2023年の完成を目指すとのことです。
13日付米空軍公式発表によれば
B-52の外部に装着されたAGM-183Aプロトタイプには、弾頭などはなく、センサーだけが搭載され、搭載母機への影響やAGM-183Aの空気抵抗や振動などの特性データ収集が行われた。同プロトタイプはB-52に搭載されたままで、B-52からの分離試験を行ったわけではない
Hypersonic8.jpg●加州のエドワーズ空軍基地から離陸して行われたが、この種の飛行特性データ収集は、米空軍が開発する全ての兵器で行われるものである
●この試験についてお馴染み米空軍調達&開発担当次官補Will Roper氏は、「我々はこの兵器開発に、議会に承認されたrapid prototyping authoritiesを活用している」、「挑戦的なスケジュールでARRW開発に取り組んでいるが、今回の飛行試験を計画通りに実現させたのも、ロッキードと関係者がこの枠組みを有効活用した努力である」とコメントしている
●また同次官補は、「我々が直面する脅威に対応する能力を迅速に獲得しようとするならば、このような取り組みが不可欠だ」とも語っている
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米海軍の担当するブースター部分が、空中発射型にも活用されるのか記事からは読み取れませんが、陸軍担当の「Hypersonic Glide Body」は3軍共通の様です
Hypersonic2.jpgこの超超音速兵器は3軍がばらばらに取り組み、それぞれが予算不足でとん挫しているうちに中露に先を越された「悲しい経緯」を持つ兵器ですが、わがままで硬直的な3軍を説得して協力体制に導いた国防省の最後の意地に期待したいものです
それにしても・・・Will Roper次官補の最近のご活躍には目を見張るものがあります。2020年代前半には、数々の新兵器が米空軍に登場する予定で、いつものようにお手並み拝見です・・・
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