英国防省もイラン脅威に慎重でスペインは艦隊離脱

英国防省が「イランの脅威増はない」発言の英軍少将を擁護
スペイン艦艇は空母リンカーン戦闘群から離脱
米国務長官も欧州諸国から冷たい扱いを
Lincoln.jpg15日、英国防省は自国出身の対ISIS多国籍部隊の副司令官(英軍少将)がイラクからの脅威が増しているとの認識はない」と発言したことについて、これを支持する声明を発表しました。
この英軍のChristopher Ghika少将は、14日のペンタゴンとのTV会議で質問に答える形で「イランに支援された在イラク及び在シリア勢力からの脅威の増加は全くない」と明言し、米中央軍の報道官が否定する声明を直ちに発する騒ぎの発端となった人物ですが、対イラン脅威認識について米英の食い違いを象徴する事象として大きく報道されているところでした
しかしこの対イラン脅威認識の食い違いは英国に限らず、急きょペルシャ湾に派遣された空母トルーマンと行動を共にしていたスペインミサイル駆逐艦も、イランとのごたごたに巻き込まれたくないとの理由で、14日に空母トルーマン戦闘群から離脱したそうです
B-52.jpgもう一つ14日には、対イランの米国姿勢を説明するためブラッセルに赴いたポンペイオ国務長官に対し、欧州各国首相はつれない姿勢を貫いたらしく、イランの脅威の実態いかんにかかわらず、欧州諸国は「係わりたくない」姿勢を隠すことなく主張しています
一方でイラン外相はインドや日本や中国を訪問して自国の立場をアピールし、米国の行動を地域の緊張をでっちあげる悪者と宣伝に回っており、米国の国際的な立ち位置は厳しいものとなっています
16日付Military.com記事によれば
Ghika.jpg15日早くに出された声明で英国防相は、Christopher Ghika英軍少将は自身の職務として情勢アセスメントを述べたものであると、淡々とその職務遂行ぶりを追認している
●一方で米国では、国務省がバクダットや北部イラクに在住する緊急要員でない米国人に避難勧告を出したことから、米上院では与野党両サイドから、イランの脅威の増加に関する説明を求める声が相次いだ
●また、14日にスペインのミサイル駆逐艦が空母リンカーン戦闘群から離れた理由についてスペイン国防相は、「米国政府がスペイン海軍と合意していた枠組み以外の決定を行ったからだ」と述べ、「一時的に米空母艦隊への関与撤から退する」としている
●イラクに兵力を派遣しているドイツとオランダも、米国務省が米国民の避難勧告を行ったことから、任務として取り組んでいたイラク治安部隊の訓練を中断し、自身の防御体制確保に攻めている
●専門家は「米国の同盟国で、中東地域でこれ以上の事態エスカレーションを望んでいる国はない」と言い切っているが、米国の中東での活動は同盟国によって支えられており、特に海上での作戦は米国だけでは成しえないと指摘している
Ghika2.jpg●イランの敵対的な動きに対し、米国が地域の戦力を増強するのはやむを得ないとみる専門家も、冷戦後の時代の流れの転換点にあるとの認識を示しており、イランの反米勢力への支援の増加に警戒感を示している
●そして、米国とイランのにらみ合いが続くことで、双方の誤解やご認識がきっかけとなり、関連の武装勢力が引き起こす事案に発展し、情勢がエスカレートすることが一番の懸念だと関係者は気をもんでいる
●欧州を訪問した米国務長官に対し、EUの外相に当たるFederica Mogherini女史は、ポンペイオ長官が主張する「最大限の圧力」ではなく、「最大限の自制」を米側に求めた
Iran-RQ-170-22.jpgイランへの強硬姿勢で米政権を支持する立場のLindsey Graham上院議員(共和党)も、国務省と国防省は、イランからの一連の「明確で信頼できる脅威」について議会に説明しべきだといらだちを表明している
トランプ大統領は15日の一連のツイートの中で、「イラン側は間もなく対話を求めてくるだろう」と述べている
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この記事を掲載することには、事態が進展しているような気もしますが、ちょっときな臭いので記録しておきます
関連の記事
「英軍少将がイランの脅威増を否定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-16
「イランからの明確な一連の脅威でB-52派遣」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-08

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