台風による緊急避難との名目ながら・・・
わざわざ三沢や嘉手納や横田から戦力を集め緊急避難を
4月22日、太平洋空軍は配下の航空部隊をいったんグアムに集め、その後、台風からの緊急避難の名目のもと、緊急にサイパン島周辺の島々に分散避難する演習「Resilient Typhoon」を行いました
この訓練は名称に「台風」を入れて「ギラギラ感」を出さないようにしていますが、担当幹部が「作戦環境と世界脅威の急激な変化」を訓練背景として語っているように、グアムが中国の弾道ミサイルや巡航ミサイルの攻撃を受けそうな場合の緊急避難を強く意識したものと考えて間違いありません
そして三沢や嘉手納基地所属の米空軍戦闘機が訓練に参加し、グアムからの避難訓練を行っている様子から、地域の米軍航空戦力を取り巻く情勢が如何に厳しいものとなっているかを示すものとなっています
23日付米空軍協会web記事によれば
●4月22日、太平洋空軍は、仮に母機地を放棄せざるを得ない状況になっても、他の分散配置された基地で作戦を継続できるよう、「Resilient Typhoon」演習を実施した
●演習は、大きな気象脅威を想定し、グアム島アンダーセン基地に集結していた航空戦力を、周辺のテニアン、サイパン、ミクロネシア、パラオに緊急分散避難させる形で行われた
●同演習には、三沢基地のF-16、嘉手納基地のF-15、横田基地のC-130、ハワイ・ヒッカム基地のC-17とF-22が参加し、アラスカのエレメンドルフ基地からも人員機材が参加した
●太平洋空軍戦略計画部長Michael Winkler准将は、「作戦環境と世界脅威の急激な変化を受け、我々の前方展開部隊は対処の余裕が無い場合においても、緊急事態対処が出来なければならない。そして我が戦力は主導の地位を獲得、確保、保持するため、流動的に機動展開できなければならない」と声明の中で述べている
●また同部長は「危機的災害における人道支援対処のため、関連地域に展開できることが一つの重要な鍵である」と述べ、各所の飛行場を理解すれば理解するほど、対処能力とその速度は向上すると付け加えた
●太平洋軍司令官Charles Q. Brown大将は年初に、太平洋空軍として地域の代替基地候補を調査し、関係国政府とどの飛行場が米空軍の緊急飛行場として利用可能かを協議していると語っている
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いつものように、相も変わらず戦闘機中心の防衛力整備にながれ、亡国のF-35大量購入に踏み切る日本は、ちまちま滑走路普及部隊の整備や、焼け石に水の代替飛行場確保に取り組んでも、所詮は「戦闘機だけ防衛力整備」の言い訳に過ぎないことを、真摯に認めるべきだと思います
有事近づいたら、米空軍のF-15もF-16もC-130も、全てグアム以東に避難するとのシナリオを頭に置きつつ、航空自衛隊の航空戦力が無残にも地上で戦う前に討ち死にする可能性を真剣に考え、防衛力整備の方向を今すぐ再検討すべきと考えます
米空軍の西太平洋対策
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