JASSMに加え、ノルウェー製JSMを購入へ
F-35内部兵装庫に2発格納可能なステルスミサイル
射程400㎞の国産巡航ミサイル開発報道の中で
13日付Defense-Newsは、航空自衛隊とノルウェー企業(Kongsberg Defence & Aerospace)が、F-35搭載用の長射程対地&対艦巡航ミサイル(JSM:Joint Strike Missiles)購入契約を結んだと報じています。
日本とノルウェー両国は、契約の価格規模やミサイルの数について明らかにしていませんが、新たな「防衛計画の大綱」に盛り込まれた「スタンドオフ防衛能力向上」の一角をなす装備です
防衛省は2019年度予算に「73億円」のJSM購入経費を初めて計上しており、今後予算規模を拡大して継続的に調達されるものと推定されます
航空自衛隊は2018年度予算から既に、ロッキード製のJASSM長射程ミサイルの購入経費を盛り込み始めており、こちらはF-15戦闘機の翼下に搭載するイメージでしょうが、今回のJSMはF-35A用に開発され同機のステルス性を犠牲にしない内部兵器庫格納サイズになっています
JSMの概要は・・・
●JSMは全長3.7mで重量400㎏弾頭125㎏、JASSMは全長4.3mで重量1000㎏弾頭450㎏
●F-35A内部兵器庫に2発搭載可能で射程は300nm程度(JASSMは射程延長型で射程1000nmと言われている)
●既に発射試験は2015年からF-16で始まっているが、初期作戦能力(IOC)の獲得は、F-35のソフト「ブロック4」がリリースされる2021年以降で、完全運用は2025年との見込み
●JSMは赤外線シーカーを使用するが、豪州は補完のためパッシブ無線周波数シーカーの開発資金を出す契約を結んでいる
13日付Defense-News記事によれば
●Kongsberg社の会長は「(F-35Aを約115機、B型を42機購入予定の)日本との契約締結は、JSMプロジェクトにとって記念碑的な出来事である。日本に選択いただいたことを大変誇りに思う」と語った
●なおJSMは、日本が42機購入するF-35Bには、翼下又は胴体に搭載することになる
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17日付読売新聞の一面トップに、航空自衛隊が射程400㎞の対艦ミサイルを開発へ・・・との記事が出ました。全くJSMやLRASM(JASSMの対艦版)と重なる兵器開発で、その意味することろが不明ですが、ノルウェー企業に安心させないための施策でしょうか???
JSMがF-35の将来運用ソフト「ブロック4」での運用を前提とし、2021年以降、恐らく2025年頃でないと運用可能でない状況で、先行的に購入契約が成立したことは評価すべきでしょう
また、完成もしていない、どの国も使用していない新兵器の購入を決断した点でも意欲的な取り組みです
まぁしかし、射程1000㎞と言われるJASSMや射程500㎞のJSMを、航空自衛隊はどこで訓練するのでしょう。防衛計画の大綱の「スタンドオフ防衛能力」との言葉も日本的だと思いますが・・・
追記
●JSMやJASSMは飛翔速度が遅く、敵防空網の餌食になる可能性が高いようなので、国産開発ミサイルは超音速飛行を実現して残存性を高め、国産機に搭載する事を狙うようです!
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H31以降の防衛計画の大綱解説スライド(約10MB)
→http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/20190221.pdf