前ボーイング副社長のShanahan臨時長官は規則で・・・
12月31日付Defense-Newsは、元旦からマティス前国防長官の臨時の後任として国防長官に就任したPatrick Shanahan前国防副長官について、前ボーイング副社長であった経歴から、ボーイング社の製品関する意思決定に関与することが法制上できないと紹介しています
そして喫緊の問題として、マティス前長官の承認サインをもらう直前まで進んでいたKC-46空中給油機の初号機納入について、どのような事務手続きが必要かを検討する必要があると指摘しています
まぁ・・・思い付きのトランプ人事ですので、このような問題が他にも出て来そうですが、後任の臨時でない正式な国防長官候補と考えられていた人物が、ことごとく「シリアからの米軍撤退反対」を表明し、当分はShanahan臨時長官で乗り切らなければならないトランプ政権にとって、やりにくい事態です
トランプ政権下の国防省人事に関しては、共和・民主党の両方の系列のシンクタンクが「反トランプ」姿勢で大統領選に臨んでいたことから、シンクタンクから国防省主要ポストに入る人材が少なく、軍需産業界から多くの人材が政治任用されました
これには故マケイン議員をはじめ多くの議員が不満で、承認のためのヒアリングを行う上院軍事委員会では、露骨に「もうこれ以上軍需産業出身者はいらない」との声が出ていましたが、ここに来てこんな形で問題が顕在化したところです
12月31日付Defense-News記事によれば
●12月20日のブルームバーグは、KC-46給油機の初号機納入に関しては、多くの問題を抱えながらも、その手続きについてマティス国防長官の承認を得る直前まで進められており、昨年12月末までの納期を守る努力が続けられていたと報じていた
●しかし、トランプ大統領が2月末までのマティス長官の業務遂行を認めず、昨年末でクビにしてShanahan臨時長官を据えることにしたことで複雑な問題が生じることになっている
●突然の国防長官交代で様々な業務処理が山積する中、前職がボーイング社の重役であったShanahan臨時長官がボーイング関連の手続きに関与できないからである
●元々KC-46の称号機納入は2017年8月で、様々な問題発生で後れ、ボーイング社自身が3000億円以上を自己負担する形で今日に至っているが、更なる問題が生じたのである
●恐らくマティス氏が行う最終手続きは、Wilson空軍長官かEllen Lord調達担当国防次官が行うことになるのだろうが、重大な不具合を抱えた装備品の承認に関することであり、部下に権限を委譲することが適当なのかとの意見も出る可能性がある
●ボーイング側は、年末に初号機引き渡しが行われたかについてもコメントせず、引き続き米空軍や国防省と連携していくとのみ報道官はコメントしている。どうなるのか不透明である
/////////////////////////////////////////////////////
ボーイングと米国防省の関係は、KC-46以外に航空アセットだけでも、空母艦載無人給油機MC-25、FA-18、F-15X、T-Xなど主要装備が並んでおり、いろいろと気になるところです。
Shanahan臨時長官は軍需産業での経験豊富や有能な人物ではありますが、政治が絡む諸外国との関係に対応できるかというと、先方の信頼感を得るという点からして荷が重いでしょう。
もちろん、今やトランプ政権の閣僚として、同盟国等から信頼を得るのは至難の業と言わざるを得ませんが・・・
Shanahan臨時長官の話題
「辛辣な承認審議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-29
「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
「次期副長官は膨大な業務大丈夫?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18
「過去の副長官の分類」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15