ベルギーが34機のF-35購入を公式発表(13番目の購入国)する中ですが・・・がんばれ!
10月30日、カナダ政府は老朽化が進み必要な機数が維持できなくなっているCF-18戦闘機の後継機選定に関し、提案要求書の案を発表し、年末までに質問や意見を求めると明らかにしました。
また、年末までに寄せられて意見等を基に修正した最終的な提案要求書に対する提案を、2019年5月を目途に要請するとの計画を示しました。
紆余曲折のカナダCF-18後継機選定
●カナダ空軍はCF-18戦闘機を138機所有しているが、30年以上の使用で機体寿命に達しつつあり、ほどなく77機程度まで使用可能機数が減少することになる
●カナダはその後継を想定して米国主導のF-35共同開発国に加わり、60機購入を計画していたが、2015年にトルドー政権はF-35計画への不信感をあらわにし、F-35購入を少なくとも5年は延期し、白紙的に検討すると発表
●一方で老朽CF-18の穴埋めとして、ボーイング製FA-18の購入を検討し始めたが、ボーイング社がカナダのボンバルディア社を旅客機のダンピングで訴えたことから米カナダ関係が悪化し、FA-18の購入検討を中止し、中古の豪州空軍FA-18を25機購入を協議中。2018年9月、製造元米国も承認することを表明
●旅客機ダンピング問題は、2018年1月に米国の調停機関がボーイングの訴えを却下して決着したが、トランプ政権の強引な米国製品売り込みの失敗例として、またNAFTAを巡ってぎくしゃくする米カナダ関係の悪化を象徴する事象として大きな話題に
●CF-18減耗のつなぎ問題は別として、本格的な後継機選定を2018年からカナダ国防省が再開し、F-35、タイフーン、ラファール、グリペン、FA-18E/Fを対象として選定作業が開始していたところ
機種選定へのカナダ政府の姿勢
●カナダ政府は今回の機種選定に関し、カナダ軍需産業界の利益が保証されることや、勝者企業からの便宜供与などを求めると明らかにしている
●ただしF-35が選ばれた場合はこの要求の実現は難しい。カナダはF-35共同開発国として1000億円の投資を行い、110社のカナダ企業が備品供給や維持整備に関与する資格を得ているが、今後の維持関連業務は費用対効果で定期的に見直されることから、いつ除外されてもおかしくない不安定なものである
●カナダ政府は、今回の戦闘機選定を「once-in-a-generation opportunity for the Canadian economy」と見なし、産業政策の重要な柱と見ている
●一方で、産業活性化は「市場主導アプローチで」、「各企業が判断して意味ある投資を」とも呼び掛けている
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ベルギーがF-16の後継として34機のF-35A購入を正式決定し、13番目のF-35購入国になったということですが、カナダはどうするのでしょうか・・・・
米国との関係が今どうなっているかよく承知していませんが、イケメンのトルドー首相には、シーク教徒であるターバンを巻いたカナダ国防相とともに、踏ん張っていただきたいものです
米国とカナダの航空戦争
「カナダに軍配:旅客機紛争」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23