アマゾンCEOが米空軍首脳を諭す!

失敗のコストが高ければ慎重に、それ以外は迅速に!?
要求値とコストのトレードオフを考えよ
Bezos4.jpg19日、米空軍協会総会で講演した世界一の富豪でアマゾンCEO、そして同時にロケットエンジンベンチャー「Blue Origin」創業者のJeff Bezos氏が米空軍首脳や関連専門家等に対し、今話題の「宇宙」に関する取り組みや、迅速な意思決定の重要性について語りました
会場の聴衆は、ロケット企業ULAがBlue Originのエンジンを採用するのか? Blue Origin(またはアマゾン)の2つ目の本社機能拠点をどこに置くか?・・・に注目していたようですが、その点には触れずに「米空軍にアドバイス」 との姿勢で講演しています
もちろん衛星打ち上げ用ロケットエンジン企業の創業者ではありますが、直接の軍需産業ではないJeff Bezos氏が主要な米空軍関係者への講演を依頼されたのは、鈍重な官僚組織の典型である米軍が、急速に変化する環境に十分対応できていない危機感から、現代の起業家代表であるBezos氏に刺激を求めた・・・ということでしょう・・・
19日付Defense-News記事によればBezos氏は
Bezos.jpg●皆さんは米国による宇宙支配(dominance)の新たな時代を望んでいるだろうし、そのためにこのようなイベントが開催されているのだろう。だれも米国支配の終わりを見たくはないだろう
中国やロシアが急速に洗練された宇宙技術やシステムを開発し、米国のアセットを妨害しようとしている中で、米空軍はどう対応すべきだろうか
●私は宇宙に存在し続けること(space domain by being present)だと考える。 米軍はもっと頻繁に、準備時間を短くして、宇宙にアクセスすべきだと思う。
●Blue Originの重要な役割の一つは、宇宙へのアクセス回数をもっと可能にして増やすことであり、準備時間もコストも削減してそれを実現することである
Bezos3.jpg●国防省や政府機関全体にも言えることだが、可能な時には、米空軍はもっと商業ベースの一般市場にある手段を解決法として採用すべきである。
●皆さんが装備品の性能要求をまとめる際、この商業ベースの一般市場にある手段を必ずしも考慮せずに作成しているのではないか
●この結果として、米軍はカスタムメイドの要求値に合致した装備を手にできるが、一般市場にある商業ベースの製品や技術でも、ほとんど遜色のないものがはるかに安価に効率的に入手可能な場合がある。
良いエンジニアは要求値に合致したものを制作するが、偉大なエンジニアは(費用と効果のトレードオフを勘案し)元々の要求値に立ち返って考えなおすことができる
迅速な意思決定がカギ
●この会合では、軍の皆さんが迅速な意思決定と柔軟性や機敏さの重要性を議論しているが、その一つの解決法は組織を小さくすることである。しかし米空軍には規模の大きさが任務遂行に必要で、その利点を簡単に犠牲にはできないだろう
●私も規模の大きさで飛んでくるパンチの威力を吸収できるようでありたいと思う。しかし同時に、パンチの威力を「かわす」敏捷性・軽快さも備えていたいと強く思う
Bezos2.jpg米空軍は意思決定を迅速にすることによりそうすることができる。スタートアップ企業がしているように。ただ米空軍は素晴らし決断をするが、その意思決定が遅い大きな組織でこの問題に対応するため、アマゾンでとっている考え方を紹介しよう
意思決定には2つがあり、一つはその決断が誤っていても小さな影響でやり直せる決断であり、逆にもう一つは後戻りできない大きな意思決定である。意思決定にはこのような大きく2種類が存在することをわきまえておくことである。
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やり直しがきくことは迅速に決めてとりあえず進んでみる。小さな失敗を許容する文化を持つ・・・仕組みを作る・・・といった事でしょうか?
税金を使用するお役所仕事で、そのような考え方や仕組み作り根付かせることは容易ではありませんが、それが必要だということです。
もう一つ、要求性能がどれだけ詰めて決められているかというと・・・・結構・・・いい加減な感じもしますから、費用と効果のトレードオフをよく確認する姿勢が、これはとっても大事ですね・・
関連の記事
「意思決定迅速化に規則削減」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-02-1
「トレードオフで将来戦闘機を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「計画段階から企業と意思疎通を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17

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