米空軍の整備員不足は今年中に解消!?

数字の上では・・・質は伴わず・・・
将来に向け、異なる整備方法を検討
maintainers.jpg20日、Goldfein空軍参謀総長が米空軍協会機関紙のインタビューに答え2016年半ばから問題となっていた航空機整備員不足について、2018年末までには数的な不足は穴埋め可能だろうと述べました
一時は4000名の整備員が不足するとも言われた厳しい状況に直面していましたが、現時点で数の面では99%穴埋めが完了したと説明しています。しかし、若年兵士を急増した付けは小さくなく、質の面では厳しい状況が続くようで参謀総長も率直に認めています
maintainers2.jpg米空軍パイロットの民間航空会社への流出や退職増によるパイロット不足には歯止めがかからず、米空軍の操縦者不足に明るい兆しは全く見えないようですが育成期間が短く、育成も比較的容易で、引き留め策が効きやすい整備員は、つずつま合わせが容易なのかもしれません
そもそも整備員不足の原因には、パイロットと同様に、民間航空業界の活況があり、転勤や家族と離れる海外派遣がなく、一般に給与水準も高い民間航空会社に整備員が流出するのは市場の法則でしょう
しかし整備員特有の背景もあります。米空軍はA-10 攻撃機を早期退役させ、急増するF-35に経験豊富な整備員を振り替えようとしていましたが、対テロ作戦の継続を受け米議会等の激しい反対で実現できず、整備員不足を招いているのです
21日付米空軍協会web記事によれば
maintainers3.jpg●Goldfein参謀総長は、2016年当時には整備員不足の解消には早くとも2019年まで必要だろうと言われていたが、2018年末には数的には解消可能だろうと述べ、既に前線部隊に配置が始まっており、現場の問題を癒しつつあると語った
●整備員不足への対策は人事管理政策の基本手順で通りに、まず整備員により多くの新人兵士を割り振り、更に一定の勤務経験を積んだものには、継続勤務決断時のボーナスを増額する等して人材流出に努めた成果だと同大将は説明した
●一方で参謀総長は、問題が完全に解決できたわけではないとし、「我々に残された挑戦的な課題は、(穴埋めに増員された)整備員が若いことである」と述べつつ、新人整備員は整備員としての資格に必要な教育訓練を受けているが、多くの経験を積んだ熟練の整備員ではないと認めた
●そして同大将は、現場での整備員不足数が一時の4000名から400名レベルに低下した様に見えても、熟練整備員は不足しており、整備部隊の技量保有者アンバランス状態解消には時間が必要だとも説明した
米空軍アセットは維持整備上2つの課題に直面している。一つは航空アセットの老朽化が進んでいる事(機体の維持に技術を要する)、もう一つはF-35のような最新アセットの導入に際しても熟練の整備員が必要だという点である
●このような航空アセットの維持整備環境を前にし、米空軍は「伝統的な今採用している整備要領に挑戦するつもりで、将来に向かって異なった整備要領を検討しなければならない」と表現し、
maintenanceF15.jpg●「我々は真剣に新たな整備方式を求めている」と語り、民間分野ですでに実証されている最適整備方式や技術を導入(to bring industry best practices and technology)する方法を探求しており、可能なら整備員の削減や整備時間の短縮、更に即応体制の向上につなげたいと参謀総長は語った
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米空軍整備部隊が直面する2つの課題(老朽機種の増加と新装備の多数導入)は、日本も切実に直面する課題ではないでしょうか・・・
ある日突然、米空軍が民間航空会社の整備手法を導入し始め、大幅に整備方式を変更したら・・・。機体毎の整備員所要数を大胆に見直し始めたら・・・。日本の整備員の世界にとっては激震ですねぇ・・・
何せ、外部の人間は一切口出しできず、アンタッチャブルな世界のようですから・・・
一方で、最近米空軍で航空機事故が増加しているように思うのですが、整備員の質と事故との関係(維持整備予算の削減もありますが・・)が気になります
米空軍整備員不足の苦悩
「嘉手納整備員は若手ばかり」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03
「整備員3400名が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11-1
「米空軍機の稼働率が異常低下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-02
「整備員不足対処案も苦悩続く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-03
「F-35整備員確保の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14
「A-10全廃は延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22

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