米空軍幹部:露製S-400対処には陸軍の協力を

HOLMES4.JPG27日、米空軍戦闘コマンドのMike Holmes司令官が記者団との朝食会で講演し、トルコやサウジが購入を試みて話題の「F-35キラー」との異名を持つ防空ミサイルシステムS-400について、その長射程が懸念事項であり、対処には陸軍装備によるマルチドメイン対応も視野にあると語りました
種々のミサイルが搭載可能で、相当レベルの対ステルス性能を備え、ミサイルの射程が400㎞とも伝えられていることが、Holmes大将の懸念の大きな原因の一つのようです
S-400は1990年代から開発が始まり、2004年に開発が完了したと言われており、ロシア国内では弾道ミサイル対処用のミサイルが搭載可能なことから、首都モスクワ周辺の基地に配備されている模様です
S-400.jpg最近では、NATOに防空を大きく依存するトルコが、このS-400購入契約をロシアと結んだと報じられ、トルコへのF-35輸出取り消し法案が米国内で審議されるに至っていますが、既に中国が500億円の投資を行ったとか購入資金に充てたとの報道もあり、身近な兵器となりつつあります
米空軍戦力の育成と運用法確立を担う戦闘コマンド司令官の、S-400に対する認識を確認しておきましょう
S-400ni対する認識
●S-400の前身であるS-300と比較して、総合的な能力アップが図られている程度だと認識しているが、その射程延伸とセンサーの進歩には懸念を持っている
●懸念の一つは、延伸する射程により目標への接近が制約を受け、特に第4世代のアセットの場合、遠方から目標に対応しなければならなくなる点である
S-400-launch.jpg●これにより、空中給油機と行動を共にできる範囲や時間が短くなり、作戦行動判事や時間が制約され、作戦計画自体が息苦しくなる
●そのため、我々は活用できるすべてのツールを動員しする必要があるが、そのためにはツールを融合する必要がある
●その一環としてマルチドメイン作戦があり、米陸軍と共にS-400対処を検討しているところである。早く脅威に到達できれば、より効果的に作戦全体を進めることが出来るはずだ
●(陸軍の Long Range Precision Fires (LRPF) Missilesや長超音速ミサイルを念頭に置いているのか? との質問に対して細部には言及せず、)統合での取り組みである
我々には、ISR能力や指揮統制能力を投入する能力があり、長射程火力の投入も可能である
F-35をなるべく近づけたくない
Holmes55.jpg米本土内のF-35教育訓練基地に続き、次はアラスカに、そして欧州にF-35を配備する計画であるが、本音を言えばF-35をS-400の近くには配備したくない
●S-400の長射程とより能力向上したセンサーが気になるところである
●話は変わるが、既にF-35を実戦投入しているイスラエル空軍と、米空軍は試験演習や訓練を通じ情報共有を図っている。
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特に目新しい話があるわけではありませんが、ロシアや中国がS-400を東シナ海正面や極東ロシアに配備したら、F-35の運用を米軍はどのように考えるのでしょうか?
上海沿岸にS-400が配備されれば、東シナ海の半分はカバーされますし、ウラジオストック周辺に配備されれば、北海道に近いあたりまでカバーされそうな勢いです
米軍がS-400の「greater sensitivity of the sensors」を気にしてF-35の運用に制限をかけたような場合、我が「亡国のF-35」は、いかなる平時の運用を強いられるのでしょうか???
余計な心配であることを願いつつ・・・・
地上部隊とクロスドメイン
「海兵隊輸送艦からロケット弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-28-1
「再度陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1

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