NATO事務総長:NATOの将来に保証はない

Stoltenberg3.jpg21日、英国首相と会談を終えたNATOのJens Stoltenberg事務総長はロンドンで講演し、北大西洋条約NATO同盟の重要性を戦略的利益と表現する一方で、同条約の永続性を保証するものはないと語り、欧州と米国の間の溝の拡大に危機感を示しました
もちろんNATO事務総長がNATOの必要性が薄れたと感じているはずはなく、ロシアの脅威やイランの核やイスラム過激派の流入に危機感最高潮なのですが、米国の最近の身勝手なふるまい、「貿易関税」、「気候変動パリ協定離脱」、「イラン核合意の破棄」、「欧州の脅威ロシアとの接近」などで言わざるを得ない状況だということです
先日のG7サミットでも、世界の首脳と腕組みトランプの対立構図写真が出回ったところであり、欧米軍事同盟の要を司る人物の言葉にも耳を傾けておきましょう・・・
22日付Military.com記事によれば
NATO.jpg●Stoltenberg事務総長は北大西洋条約の将来について、何も保証するものはないと欧米間に高まる緊張感に警鐘を鳴らし、「大西洋をまたぐ絆が永続的だと決まったものではない(not written in stone )」と表現した
●そしてその背景として、米国トランプ政権による「貿易関税」、「気候変動パリ協定離脱」、「イラン核合意の破棄」、「欧州の脅威ロシアとの接近」などで生じた意見対立をあげ、「欧米間の絆の弱体化を目にしている」と懸念を示した
●一方で同事務総長は「我々は同盟を維持していくと信じている」、「大西洋をまたぐ同盟維持は、我々が共有する戦略的利益である」と述べ、
●また、「テロ、大量破壊兵器の拡散、サイバー攻撃、ロシアの活発化など、予測不可能な不安定時代に直面しており、NATOのような多国間の仕組みを守り、国際規範に基づく秩序維持に取り組まなければならない」と訴えた
NATO2.jpg7月にNATO首脳会議が予定されているが、トランプ大統領は同会議後にロシアのプーチン大統領との会談を計画を計画している。先のG7サミットでロシアのメンバー復帰を米国が提案し、他国から拒否された相手である
●しかし同事務総長は会談自体には理解を示し、「ロシアとの対話は望ましい。我々は新たな冷戦や軍拡競争は望んでいないし、孤立するロシアも望んでいない」とコメントしている
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トランプ大統領の外交姿勢には多くの疑問符「?」が付きますが、NATO内の問題で大きいのは、危機に直面しているにも関わらず、国防費増にいまいち踏み出せない欧州NATO諸国の姿勢です。
NATO Summit16.jpg米国はGDPの2%以上をNATO諸国に求めていますが、なかなか満たす国が出てきません。数少ない達成国が、EU離脱を表明している英国だというのも皮肉な状態です
欧州諸国への米国の厳しい視線は、当然アジアの日本にも向けられるでしょう・・・。対岸の火事ではありません・・・
ロシア関連の問題
「国防費増で関税削減も?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11
「露のサイバー攻撃は・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-18
「露のINF破りを非難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-16
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

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