素直に喜べない印象です・・・
20日、米空軍とボーイングが、最近まで納期を巡り言い争いを続けてきたKC-46Aの初度18機の納入計画を発表し、1番機を今年10月に、残りを2019年4月までに納入すると明らかにしました。
KC-46Aの初度18機のオリジナル納入プランでは、2017年春に1番機、残りを2017年夏までに納入することになっていましたので、約1年半の遅れとなります。
つい最近の5月には、米空軍側が、給油ブームの不具合や受側機体へのひっかき傷問題を取り上げ、受け取りを拒否すると明らかにし、それら問題が解決した後の初号機受け取りは2019年春か夏になるとまで「泥沼化」していた案件が、なぜか突然解決したかのようです???
ただ、ボーイングが「great progressがあった」と発表する一方で、空軍側から諸問題が解決したとの言葉はなく、なんとなく「きな臭い」感が漂っています
21日付米空軍協会web記事によれば
●つい最近まで、ボーイングが年末までに初号機を納入すると主張し、米空軍側が来年春以降まで納入が遅れるだろうと突っぱねる険悪な関係だったのが嘘のように、曖昧だった予定に、明確な日程が発表された
●米空軍幹部が、ボーイングは民間旅客機部門にばかり勢力を割き、KC-46Aを犠牲にしていると批判し、ボーイングの担当社長が、KC-46Aは最優先事業だと反論するなど、不穏な空気が漂っていたのはつい最近の出来事である
●米空軍省の調達担当次官は、「米空軍は1番機の納入を楽しみにし、今後もボーイング社と共に計画の促進に向け協力していきたい」と述べる一方で、「KC-46Aの飛行試験は終了に近づいているが、重大な仕事がまだ残っている」と意味深な発言をしている
●ボーイング側の声明は、「担当チームが偉大な進歩を成し遂げた」、「米空軍の皆さんが何時給油機を受領できるかをお知らせできた」、「KC-46Aはボーイングの最優先事業であり、わが社のベストメンバーで可及的速やかに納入できるように取り組んでいる」と述べている
●KC-46A計画は、当初の18機調達が固定費用契約で約5000億円だったが、ボーイング側は既に追加で3300億円を自腹で投入している
●ボーイングは2028年までに179機の同給油機を納入する計画で、毎年約15機を生産する換算となる。総経費は3兆8000億円が見込まれている
●米空軍は、アイゼンハワー時代のKC-135とレーガン時代のKC-10の老朽給油機の更新計画を何度も練り直しており、「KC-X」であるKC-46Aに続き、通信中継機能や自己防御レーザーをKC-46に搭載する「KC-Y」と、ステルス性等の突破力を持つ「KC-Z」の構想を持っている
●この構想に関し、米空軍輸送コマンドは最近、当面の予算状況が厳しいことから、「KC-Y」をすっ飛ばし、少数で良いので突破力のある「KC-Z」を追求したいとの希望を明らかにしている
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なんとなく、どこからか圧力がかかって、米空軍が受け取りを強要されているような気がしてなりませんが、ボーイングとトランプ大統領が親密そうなので、色々勘繰ってしまいます。
今のところ、日本が購入する機体への影響は不明ですが、最近、国産輸送機C-2の価格が、当初の1機160億円程度から、米国製エンジン等の価格高騰により、230億円程度に跳ね上がっていると報じられているところ、米国製品の価格には要要注意です!!!
米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「開発が更に遅れ」[→]http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1
「ブームで相手にひっかき傷」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02-1
「空中給油機の後継プランを見直しへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15
「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21