ターゲティング情報の伝達手段は課題のようですが
とりあえず射程の延伸から・・・
13日、米海軍研究室(ONR)がMark 48魚雷の射程延伸に向けた推進エンジン効率向上の契約を、 Aerojet Rocketdyne社と結んだと発表ししました。
射程延伸により、より遠方から、ロシアのdeep-diving潜水艦や最新艦艇を攻撃できる能力を強化することが狙いらしいですが、単にそれだけでなく、巡航ミサイルやSM-6のように、発射された後にネットワークから目標情報を入手し、より柔軟な遠方からの攻撃を可能にしたい「願望」が背景にあるようです
13日付DEfense-News記事は、(水中の魚雷への目標情報伝達を)「still has some issues」 と表現しつつ、一方で対応可能性があるような書きぶりですのでご紹介します
13日付DEfense-News記事によれば
●13日、Aerojet Rocketdyne社は米海軍研究室と、Mark 48魚雷のエンジン効率向上のプロトタイプ作成契約を約3億円で結んだと発表した
●海軍が標準的に魚雷で使用している「Otto fuel propellant」を用いつつ、より大きな推進力を得るプロトタイプエンジン開発計画「Torpedo Advanced Propulsion System project」の契約である
●この契約に秘められた米海軍の願望を、CSBAのBryan Clark研究員は、敵から離れた遠方から攻撃可能とするだけでなく、「P-8哨戒機などの第3者から得られた目標情報を活用可能とする」狙いの一環であると解説している
●そして「魚雷の射程が50マイル以上になれば、魚雷発射潜水艦等は目標を補足し続けることはできない」と述べ、同時にそれだけ遠距離から発射すれば、発射時に敵から発見される可能性も低いとも語った
●また「潜水艦は30発程度の魚雷を搭載しているが、一般に潜水艦センサーが探知可能な範囲には、1~2個の目標しか存在しない」、「魚雷への遠隔ターゲティング技術が確立すれば、潜水艦を水中弾薬庫とすることができる」と米海軍の構想を語った
●この構想は、水上艦搭載のSM-6が、E-2DやF-35のセンサー情報を活用して飛来する敵航空機やミサイルを探知して対応するのと同じ考えかたである
●水上艦艇の構想を潜水艦に応用するには、幾つかの問題が残っているが、魚雷は発射されてから目標に到達するまでに時間があることから、米海軍は目標情報を魚雷に伝達するための対策をひねり出すだろうと、同研究員は述べている
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魚雷への目標伝達の課題について原文は、「Navy will have to puzzle out how to relay targeting updates to the Mark 48 as it travels toward the enemy ship from so far away」と表現しており、勝算があるのか目算があるのかよくわかりませんが、期待いたしましょう
CSBAのBryan Clark研究員におかれては、久々の登場でした。お元気でしょうか?
ロシア軍の核魚雷疑惑
「米NPRも露核魚雷に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13-1
「露が戦略核魚雷開発?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-06
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