国の威信や安全保障より、軍需産業政策か
それともやっぱりトルコが大事?・・・
トルコが米国人牧師を拘束し、防空をNATOに依存するトルコがロシア製地対空ミサイルS-400(通称F-35殺し)を購入しようと、予定通りトルコ用F-35の1番機は、6月21日に引き渡されるようです。
議会は売却を阻止するための法案を準備中も、上院と下院で法案をまとめるには数か月を要すると見られ、米国内のルーク空軍基地でトルコ人操縦者による飛行訓練が開始されるようです。
米国防省は特にこの流れを静観しているようにも見え、議会にげたを預けている感じで、100機もF-35を買ってくれるトルコを大事に考えているのか、地政学的にトルコが重要と考えているのか・・・その心がよくわからないのですが、とりあえず状況をご紹介
13日付Defense-News記事によれば
●ロッキード社報道官はDefense-Newsに対し、「伝統的に海外顧客の1番機にはセレモニーを行ってきており、6月21日のFort Worth工場での式典予定に変化はない」と語り、「式典後、同機はルーク空軍基地に移送され、そこでトルコ人操縦者の訓練を行う」と説明した
●米議会は、米国人牧師Andrew Brunson氏がトルコに拘束されていること、そしてトルコがロシア製のS-400近い空ミサイル購入に向かっていることに反発し、F-35売却を阻止しようとしているが、最終的に法案を通すには数か月を要する
●米国防省は現時点で、6月21日にトルコに引き渡されるF-35がルーク基地を使用することを阻止する様子はなく、一方でThomas Goffus欧州担当国防次官補代理は、トルコのS-400購入を西側へのリスクだとも語り、「我々はトルコがS-400を導入しないことを望んでいる」と表現するにとどまった
●しかし同次官補代理はF-35のトルコ引き渡しに関しそれ以上言及せず、議会の動きを静観している様子である
●6月初めに、ポンペイオ国務長官とトルコ外相がワシントンDCで会談したが、会談後トルコ側は1番機の引き渡しのみならず、その後のF-35売却についても確信していると語っている
●トルコ外相はその際、「米国からの脅し文句をトルコは拒絶する。建設的ではない」とトルコ紙が報道している
●トルコは100機のF-35購入を計画しているほか、トルコ国内軍需産業がF-35の胴体中央部分の製造を担っており、また維持整備拠点として諸外国のF-35維持整備も行うことになっている
/////////////////////////////////////////////////////////////////
マティス国防長官は4月26日、米議会で、S-400をトルコとインドが輸入しても、制裁を控えるよう要望し、「インドやベトナム、その他の国に対し、厳格にCAATSA法を適用することは、長期的に見て米国自身を罰するようなものだ」と訴えています
中国やロシアとの非対称な差は、同盟国を有するかどうかだ・・・と米国の国防関係者はよく表現しますが、どこまで米国は我慢できるでしょうか・・・マティス国防長官の本音はどこにあるのでしょうか?
今後が気になります
「マティス長官:ロシア製武器購入を許してやって」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28-1
トルコの防空ミサイル購入問題
「連接しないとの言い訳?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-30
「トルコ大統領が言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-14
「ロシア製S-400購入の動き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23
「SAM選定で露に最接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-12
「中国製決定を破棄」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-16
「トルコ大統領訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30-2
「NATOと連接しない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-20