米空軍の戦闘コマンド司令官が本音で語る年間購入機数48機
22日、米空軍の戦闘機族ボスであるMike Holmes戦闘コマンド司令官が米空軍協会航空戦シンポジウムで講演し、今後のF-35取得ペースやその後に待ち受ける要改修機体への対処などについて語りました。
米空軍が保有する戦闘機の平均年齢「30歳」を引き合いに出し、F-35を年間何機購入すれば平均年齢が下がるかなどの興味深い分析を披露しつつ、一方で他の必要投資とのバランスも考える必要があると認めざるを得ない苦しい立場も吐露ししています
そして、他の投資分野とのバランスだけでなく、開発と製造を成功して進めているF-35の乱暴な現状を踏まえ、今大量に購入しても「支払いきれない膨大」な改修費用が必要となるとの本音の理由も説明し、現状の年間購入機数への理解を、米空軍や軍需産業やOBの「戦闘機命派」に求めています
22日付米空軍協会web記事によれば同司令官は
●米空軍は、F-35の年間購入機数を48機とすることが「balance point」だと考えている。このバランスとは、戦闘機全体の近代化を図りたいとの願望と、他のアセットの近代化との間のバランスである
●また、(開発途中で製造され、受領後に近代化改修が必要な機体の)改修経費が膨大なため、全てのF-35を同じ形態にそろえることは不可能だ
●もちろん私は(年間48機)より多くのF-35を毎年購入したいし、そのことで米空軍保有戦闘機の平均年齢30歳を引き下げたい。
●例えば、年間60機F-35を購入できても、それでは平均年齢を維持することで精一杯だ。仮に80機購入を10年間継続できれば、平均年齢を20歳にまで引き下げることが可能だ。そして100機なら我々がより幸せだろう
●しかし戦闘機の更新は、他の核兵器、ISR、宇宙アセット、無人機などなどの近代化投資とのトレードオフで考えなければならない。
●特に(まだ開発が継続している中で見切り発車して購入した)初期段階のF-35機体を最新型レベルに改修するには、「支払いきれない膨大:unaffordable cost」な改修費用が必要となるため、しばらく待って望ましいレベルの後に生産される機体を購入することを志向している
●ただし、どのレベルの能力を達成した機体が必要か、初期型機体をどのレベルまで改修して引き上げる必要があるかは検討中である
●(現在、操縦者養成用に使用している初期型の限定的能力しかないF-35を、全て実戦使用レベルに改修するのか?との質問に対し、)一部の機体はその改修に膨大な経費が必要出し、一部はソフトの交換だけで能力向上が可能になる。現在検討中である
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この「Air Warfare Symposium」には、日本からもゾロゾロ戦闘機命派の航空自衛隊操縦者OBが軍需産業顧問として参加しているはずですが、正直に日本に帰って報告していただきたいものです。
もしかしたら在米大使館の防衛駐在官あたりも参加しているかもしれませんが、正直に日本政府にこの現状を報告すべきだと思います
恐らく48機ペースを維持するのも困難でしょうから、米軍戦闘機の平均年齢は30歳から上昇を続けるのでしょう。総数を削減しないとの大前提を変えない限りは・・・
Holmes戦闘コマンド司令官の発言
「仮想敵機も民間委託」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「民間ドローンへの対処権限を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-15
「規模が大きすぎ小さくなっている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「ACCの新たな取り組み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15-1
「Holmes司令官の経歴など」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-12