2日付C4isrnetが、つい最近まで北朝鮮のICBMを正確に把握できていない様子だったロシアの弾道ミサイル早期警戒システムに疑念の目を向け、昨年12月に運用を開始したと宣伝している新レーダーでも、火星14号クラスは探知できず、米国の迎撃ミサイルをロシア向けの弾道ミサイルと誤解する恐れを指摘しています
もともとロシアは(他の世界の国もそうでしょうが・・)、北朝鮮の弾道ミサイル発射や探知を十分想定しておらず、小型の弾道ミサイル探知能力やレーダー覆域が十分でなかったのかもしれませんが、米国の対イランを想定したBMDシステムの欧州配備に強く反発したりしている様子等々から、露の早期警戒システムに疑念を向けるのももっともです
ロシアが北朝鮮の弾道ミサイルをICBM級だと認めたのは、昨年11月の火星15号になってからで、それ以前の火星14号等を中距離弾道ミサイルだと言い張っていたということです。
推測が多分に入った記事ですが、ご参考まで
2日付C4isrnet記事によれば
●昨年6月に北朝鮮が初めてICBM火星14号を打ち上げ、これを米国、日本、韓国そして北朝鮮が大陸間弾道弾ICBMだと確認したのに対し、一つの国だけがこれに不同意だった。その国がロシアである
●当時ロシアは、火星14号は中距離弾道ミサイルに過ぎないと主張したが、この主張の背景を西側専門家は様々に推測した。
●ロシアは観測の技術的ミスからそう判断したのか、政治的な意図からそう主張しているのか、単に探知追尾能力が劣っていいるから判断を誤ったのか・・・様々な憶測である
●そんな中、当時の「The Diplomat」は、「ロシアの早期警戒システムVoronezh systemsはUHF周波数帯を使用し、主に米国が発射するICBM探知追尾を目的としていることから、より小型の北朝鮮火星14号の第2段目を探知追尾する能力に劣っているのだ。またはレーダー覆域の末端に当たるため探知追尾精度が不十分なのだ」との分析を掲載した
●このようなロシア早期警戒システムの能力限界を指摘した専門家は以前から存在し、北朝鮮のICBM迎撃のために米国が発射するBMDミサイルを脅威と誤認する恐れを主張してきた
●一方ロシアは、2016年12月に弾道ミサイル早期警戒システム強化のための施設工事を終了し、1年後の2017年12月に最後の3つのレーダーサイト運用開始を宣言している
●しかしそれでも、ロシアが北朝鮮のICBM発射を公式に認めたのは、昨年12月になってからで、それもラブロフ外相が昨年11月発射の火星15号に限って認めたに過ぎない
●これらの事象から専門家は、北朝鮮が火星14号クラスのICBMを発射した場合、ロシアはそれを探知できず、米国が迎撃のために発射するBMDミサイルを変に誤解する可能性を指摘している
●ロシアの新しい早期警戒システムの能力には、未だ多くの疑問が残されている
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弾道ミサイルとその迎撃システムについてはこれ以上語れないので、専門家の方のコメントをお聞きしたいところです
海国防衛ジャーナルのフォローを期待しつつ、今年も怪しげな動きを見せるであろうロシアを見ていきたいと思います
INF条約の経緯とこれまでを解説
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
ロシアのINF条約破り
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06