ロシアとエジプトが相互軍用機乗り入れへ

RussiaDM-Shoigu2.jpg11月30日付Defense-Newsは、ロシア政府がエジプトへの武器売却や軍用機の相互乗り入れ等を含む合意文書を承認し、その案文をロシア政府のwebサイトに公開したと報じています。
11月29日には、ロシアのSergei Shoigu国防相がカイロを訪問し、両国の軍事技術協力会議に出席しており、この軍事協力を強化する合意文書の最終的な詰めを行ったものと解釈されています
ロシアとエジプトの関係は、1950~60年代にかけて反米姿勢を強めたナセル大統領の元で発展しましたが、後任のサダト大統領は旧ソ連の顧問団を追放して親米の立場をとり、「アラブの春」までは米国が影響力を保っていました
しかし「アラブの春」でムバラク大統領が追放されてからは、エジプト国内の混乱もあり米国との関係は疎遠になっています。
そうなるとロシアが近寄ってくるのですが、ロシア人のエジプト旅行客224名が搭乗したロシア旅客機が、2015年にエジプトのシナイ半島上空でISISに爆破された事件以降、ロシア政府は旅客機の乗り入れを中止し、エジプト観光産業の苦境がさらに悪化していました
11月30日付Defense-News記事によれば
RussianPair.jpg●11月30日に公開された両国政府が合意している文書案には、ロシアのメドベージェフ首相の署名があり、ロシア軍機がエジプト軍用基地を使用することが可能になることなど、ロシアの中東での影響力を更に強化する内容となっている
ロシアはシリア内戦でシリア軍飛行場や港を使用しているが、エジプトに拠点を確保することでその影響力を中東全域に拡大することにもつながる。エジプトとの合意は5年間有効で、両国が合意すれば延長される
エジプトのシシ大統領政権にとってロシアとの軍事行為は極めて重要で、戦闘機やヘリコプターや兵器を購入する合意も含まれているからである
シシ大統領が就任してから、彼はプーチン大統領と親しい関係を構築しており、ロシアとの経済関係が拡大し、ロシア製兵器購入にも興味を示してきたところである
●29日にカイロでの会議でロシアのShoigu国防相は、「安定して肯定的でダイナミックな軍事協力の地平が広がっている」と語ったと報じられている
Sissi2.jpg●同時に同国防相は、最近シナイ半島のモスクで発生した305名が犠牲になるテロ事件に言及し、お悔やみの言葉を述べている
シシ大統領はシナイ半島のイスラム過激派対策に苦労しており、29日にはシナイ半島北部の安定と安全を3か月以内に回復せよとエジプト軍に指示し、併せて軍参謀総長にすべての軍事的手段の使用を許可したところである
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シシ大統領は剛腕で強権政治手法でありながら、女性にも人気があり、スエズ運河の拡張工事を短期間で成功させたことで海外投資家からも期待が高い政治家です
Suez1.jpgその有能な政治家が、ロシアとの関係強化に動く背景には、人権とか民主主義とかの問題でフィルターをかけたがる米国の姿勢にも原因があるように思います
3か月でシナイ半島の過激派が掃討可能とは考えにくいですが、まずは治安との考え方には一理あります。ロシア製兵器を使ってでも・・
それにしてもロシアは抜け目ないですねぇ・・・。シリアに、トルコに、ベラルーシに、エジプトに・・ですから。
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