ロッキード社:PAC-3の航空機や艦艇搭載も!?

Cahill.jpg17日付Defense-Newsが、Lockheed Martin社の防空&ミサイル防衛担当副社長の発言を紹介し、同社が製造する「PAC-3」「PAC-3 MSE」「THAAD」や「MHTK」の将来方向について、「他のドメインでの活用」や「機能向上&付加」などの視点から語る様子を取り上げています
米国防省や米軍から正式な研究開発依頼があったわけではないと慎重な姿勢を見せつつも、地上配備が前提で開発配備されてきた上記兵器システムを、異なるドメインである海軍アセットや空軍アセットに搭載したり、従来とは異なるセンサーと結びつけることを、脅威の変化から自然なことだと取り組んる様子が伺えます
ついでにこれを機会に、イラクでの米兵士の死亡の2番目に多い原因である敵の「rocket, artillery and mortar (RAM) 」対策として開発された、同社の「MHTK」について少しご紹介したいと思います。ちょっとだけですが
17日付Defense-News記事によれば
PAC-3 Saudi.jpg●17日、ロッキード社防空&ミサイル防衛担当副社長であるTim Cahill氏は、 Space and Missile Defense Symposiumで少数の記者団に対し、既存の防空&ミサイル防衛兵器を他のドメインで使用することや、新機能を付加することに投資していると語った
●そして「全長約6mから50㎝までの防空&ミサイル防衛兵器を開発製造してきたが、これらを伝統的なドメイン以外でどのように活用しようかと考え始めている」と記者団に語った
●例えば「PAC-3 MSEを以上配備以外で活用できないか、パトリオットシステム全体を艦艇に装備できないか、航空アセットにはどうか」との問いである。
●その検討は、ロッキー社内にある他部門のセンサーと結びつけられないか、例えば「Long Range Discrimination Radar」、「Space Fence」、「Q-53 counterfire radar」等とはどうかとの問いである。
そしていろいろな組み合わせやマッチングを検討した結果、従来システムの組み合わせで大丈夫との結論が得られた分野もあると同副社長は説明した
PAC-3 MSE.jpg●またCahill副社長は、幾つかの組み合わせや新能力は契約に近づいているとも語ったが、細部には言及を避けつつも、「皆さんも遠からず知ることになるだろう。防空&ミサイル防衛兵器を他軍種のシステムと連接するような試みをである」と語った
●更に他の取り組みとして、既存のシステムを他のアセットに搭載することに言及し、「例えば、陸軍が運用しているPAC-3 MSEを、他軍種アセットに搭載することも検討している」、「F-16ではないだろうが、F-16より大きな機体で大型ミサイルが搭載可能なもの」、「航空アセットも想定外ではないし、艦艇アセットも想定外ではない」と語った
●ただし同副社長は、航空アセットの場合、より小型のミサイルがよりフィットするだろうとも語り、「PAC-3とMHTKの中間ぐらいの大きさで、2~2.5mぐらいの全長の物」と言及し、「全タイプの航空アセットに搭載可能なhit-to-killタイプの詳細なコンセプトに、積極的に取り組んでいる」と語った
●また同副社長はTHAADの発展型にも言及し、射程を延伸し、センサー能力も向上させ、超超音速兵器(hypersonic weapon)にも対処できるような能力を付加したいと語り、「検討の最中なので細部を語れないが、射程を延伸し、対処高度を増すことを疑いなく求められるだろう」と表現した
MHTKについて
MHTK.jpgMHTK(Miniature Hit-to-Kill)は、イラクでの米兵士死亡の2番目に多い原因である敵の「rocket, artillery and mortar (RAM)」 や無人機兵器対策として開発された兵器システムである
全長73㎝、直径5㎝、重さ2.5㎏のMHTKは、弾頭を搭載せず、運動エネルギーで「Hit-to-Kill」を狙う兵器。1個の発射機に36発搭載され、トラック1台に2個発射機が搭載できる大きさである
////////////////////////////////////////////////////////////////
兵器技術の拡散に伴い、弾道・巡航ミサイルから「rocket, artillery and mortar (RAM) 」、更に無人機まで、潜在的敵国にはこれら安価で入手が容易な兵器があふれることになります。
THAAD2.jpg上記のロッキード社の取り組みも、効果があるかどうか、費用対効果はどうなの・・・との精査は必要ですが、西側諸国軍が取り組みべき喫緊の課題です。
少なくとも、近年の脅威の変化を象徴するこれらの兵器は、我が国が「なぜか必死に優先して投資する」戦闘機の運用基地対しに極めて有効です。
お馴染みの関連記事・何度でも!
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15 
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「ACC司令官も電子戦機を早期に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

タイトルとURLをコピーしました