米軍基地に民間ドローンの撃退権を付与!?

small drones2.jpg7日、米国防省のJeff Davis報道官が、国防省として米軍基地に脅威となる個人や商用ドローンに対する新たな対処指針を決定したと明らかにし、7月中に非公開規定として既に各軍種に通知されていると語りました。
小型ドローンが一般社会でも気軽に購入できるようになって急速に普及し、ISISがイラクやシリアで兵器として使用して大きな脅威となっていることをご紹介してきましたが、今年に入り、核兵器を担当する軍幹部や米空軍幹部を中心に、米国内の米軍基地にもドローンへの対処権限を与えるべきだとの声が上がるようになってきました
今年3月には、ICBMサイロやSSBN等を預かる米戦略コマンドのHyten司令官が、ドローンの急速な普及に比し、対策が極めて遅いと政府に訴え、米空軍ACC司令官は7月、F-22基地への小型民間ドローンの侵入とF-22への異常接近事案を取り上げ、基地司令官には何の対処権限もない状態に危機感を訴えていたところです
とりあえず、新規定関連の報道をご紹介しておきます
7日付Defense-New等の報道によれば
ISIS drone.jpg●7日、Davis報道官は、新たなどローン対処政策は7月中に各軍種に通知されており、7月4日には米軍基地が所在する自治体や地域コミュニティーに対し、どのように新方針を知らせて協力を得るかに関する、これまた非公開のガイダンスが各軍種に配布されたと説明した
●また報道官は対処政策の概要について、「米軍基地内でドローン等が飛行した場合、自衛権の行使で対処する」「新たな指針は、これら脅威を止める行動、つまり、追尾、捕獲、機能不全、破壊等を可能にするものである」と説明した
●しかし米軍が、土地をリース借用しているような場合は単純ではない脅威でないドローンや空域の所有者が不明確なケースもありえるからだ
例えば、ノースダコタ州Minot空軍基地の周囲に広がる広大な150個ものICBMサイロの場合、サイロの土地は民間地主から借り受けているもので、サイロの間には農地や家畜の放牧場が広がっている。
●このようなケースでは、地主は農地や放牧場の管理のため、ドローンを利用することが増えているのだ。また昨年秋の段階では、Minot空軍基地の周囲のサイロ上空は、ドローンの飛行制限区域ではなかった
small drones.jpg●今回の新たな指針で、サイロ上空の空域の扱いに変化があったのかは定かでない。いずれにしても、新政策は133の軍事施設に適応される
●更に同報道官は、本指針は連邦航空局FAAや他の政府組織とも協議して定めたものだと述べたものの、個々の事象への対処については、その時々の状況によることになると慎重に語った
同日付Defense-Tech記事によれば
●関連する政府高官は「脅威の種類や程度に応じ、対処はおのずと異なる」と述べ、民間ドローンをどのような状況で「撃墜」できるかは大きなミステリー
●7月に発生したドローンのF-22への異常接近のような事例で、F-22がドローンを撃墜可能かと質問したところ、当該政府高官は「どのような戦いでも、武器使用は応分の範囲で行われることが原則であり、F-22による撃墜は過剰なキルだ」と語っている
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細部対処要領は非公開で、あくまで国防省が現下の国内法を根拠に「自己防衛:Self-Defense」の範囲で方針を示したものであり、現場が期待していたような単純明快で実行が容易なドローン対処指針ではないと思いますが、一つの進歩と見てよいでしょう
ISIS drone 4.jpg今後は、現場の反応や新規定では十分対処できない事例などを軍事メディアが追いかけると思いますので、そんな事例を通じて現代社会とドローンの折り合いを探っていくことになるのでしょう。
日本でも、早めに「縦割りのお役所仕事」の中で、色々な場面を想定して「頭の体操」をして置いて下さいね。オリンピックもあることだし・・・
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