7月28日までの18日間にわたりネバダ州ネリス空軍基地で行われた、米空軍主催の航空アセット演習の最高峰「Red Flag」に、第5世代戦闘機3機種(米空軍と海兵隊のF-35A型とB型、米空軍のF-22)が初めて同時に参加し、その成果を参加した飛行隊長達が語っています
実施した訓練の重点、それなりの稼働率を確保している様子、3機種が同じ5世代機として作戦運用手順等を相当標準化している様子、コミュニケーションの課題など、細部に言及はないものの、米軍5世代機の位置取りが伺える内容となっています
まぁ・・・飛び上がれば当然それなりの性能は発揮するでしょうし、これだけ高価なんだからそうでないと困るのですが、日本での問題は敵が航空機が飛び立つ前に無効化しようとしている点です。
また、数少ない基地基盤を攻撃し、一度飛び上がっても戻る基地を破壊してしまう作戦を中国等は考えているからです。
そのことから徹底的に目を背けているのが日本の戦闘機命派ですが、今日は5世代k機のお勉強も兼ね、7月の「Red Flag」演習を振り返ります
1日付Defense-Tech記事によれば
●7月に開催された「Red Flag」演習は、海兵隊の第211海兵戦闘攻撃隊のF-35B、米空軍の第58戦闘飛行隊、そしてF-22飛行隊も参加し、3機種が揃う歴史的な初の演習となり、他機種を含むと50機以上が参加する規模の演習となった
●これまでにF-35が参加した「Red Flag」演習では、同機が空対空戦闘でその能力を披露し、20対1のキルレートでその優れた能力を示したが、今回の同演習でF-35は、航空阻止やSEAD(敵防空能力征圧)、更に動的ターゲティングなど空対地任務を焦点に参加した
●米空軍の第58戦闘飛行隊長のSnyder中佐は、「演習に参加して、F-35が改めて柔軟性を持ち、多様な任務に対応できることを確認できた。空対地任務が主だが、F-22が得意とするエスコート任務も数回訓練した」と語り、キルレートには言及しなかった
●また同隊長は「素晴らしいアビオニクスを搭載し、ハイエンドの厳しい環境下でもその能力を遺憾なく発揮できることを確認した」とも語った。そして「第5世代機は、4世代機や他アセットと連携することで戦力増強能力を発揮して作戦を成功に導くことが出来ている」と述べた
●参加各飛行隊は1日に8回飛行(eight sorties a day)するよう計画されたが、機体に小さなトラブルが発生しても地上の代替機が穴埋めし、訓練全体を阻害することは無かった
●第5世代機3機種が初めて揃った本演習は、部隊間の意思疎通や戦力融合の貴重な機会を提供し、最近定められた共通のTTP(tactics, techniques and procedures)が大いに役立った
TTP共通化とリンクの課題
●Snyder飛行隊長は、「米海兵隊F-35と訓練するのは全く初めてだったが、最初の夜間飛行訓練準備で顔を合わせた際、リーダーを務めた海兵隊操縦者と基本手順書(notes)を比べあったが、全く同じページを開いていたのだ。つまり全く同じTTPで作戦していたんだ。驚くべきことだし、皆が同じ土俵で議論しているなんて実にクールな話だ」と振り返った。
●海兵隊がF-35を「Red Flag」に参加させるのは久しぶりだが、同演習は海兵隊の若い操縦者に統合訓練の貴重な機会となっており、更に「他軍種がどのように行動し、問題に対処しているかを学ぶ機会となっている」「本演習で参加兵士が学んだ教訓などは、全海兵隊部隊で共有するようにしている」と海兵隊の飛行隊長は明かしてくれた
●情報共有や通信に関しF-35側に問題は無かったが、F-22部隊にはフラストレーションが残った。F-22のデータリンクはF-35のデータリンクMADL(Multi-Function Advanced Datalink)と上手くマッチしておらず、F-22は第4世代機やF-35から旧来のリンク16経由でデータを受領するだけで、共有できない
●同演習では、多くの意思疎通は伝統的な「音声」によりなされた。この問題解決のため、機体間の橋渡しする努力につぎ込まれたが、いつ機体の間のデータ融合に関する問題が解決されるかは、依然はっきりしていない
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共通のTTP(tactics, techniques and procedures)が大いに役立ったとは、遅きに失したとは言え、極めて重要なことでしょう。特に機種をまたぐ標準化は、難しいでしょうが。
F-35とF-22のリンク問題は長く指摘されていますが、何とか早くしろよ・・・と言いたくなります
今年2月の「Red Flag」には、英空軍のタイフーン戦闘機や豪空軍のE-7早期警戒管制機も参加しており、同盟国との相互運用性がどこまで検証されたのかも気になります。
米空軍のB-1爆撃機と日本のF-2戦闘機を、並んで飛行させるだけの「実際的に意味の無い訓練」でお茶を濁すより、どうせなら、太平洋地域の中核同盟と言いたいなら、「Red Flag」に早い段階で呼ばれるように、数ばかりに拘らず、質も追求してみたら・・・日本の戦闘機命派どの!
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